死後の世界の財政運営に激震が走っている。冥府政府は今季の「影予算(シャドウバジェット)」案を公表し、新型コロナ封じ込め事業やグリーントランスフォーメーション(以下:異界GTX)推進策への莫大な出費の穴埋めを目的とした“幽霊資産課税”の大幅強化案を盛り込んだ。少子高霊化が進む社会保障費の増加と、昨年来の羽衣流通危機、さらに時折発生する“亡者大移動”トラブルも重なり、財政赤字と歳出は異界史上最大規模に膨らむ見込みとなっている。
幽冥財政審議会の発表によれば、今年度予算案の歳出は歴代最大の663兆霊円に達し、うち32兆霊円を新型コロナ死後対策基金に、45兆霊円を異界GTX推進「蘇りグリーン都市計画」に投じる予定。財源確保策として、幽霊個人の未供養資産に段階的な課税を行う案が浮上しているが、一般幽霊層からは既に不安と反発の声が拡大中だ。とくに冥界中部“白煙町”在住の元書記・霧田スズコ(享年89)は「遺産もしがらみもあの世に持ち越す身。これ以上供養を切り売りしたら成仏できなくなる」と渋い表情を見せた。
閻羅省財政局の鍛冶屋切平局長(201歳)は首都霊都での記者会見で「新型コロナ対策費や異界GTX推進費は未来世代の生きる環境と穏やかな霊界運営のため不可欠。財源確保には幽霊課税の見直しは避けて通れない」と強調。「ただし、終焉世代(死後300年以上が経過した旧霊)」には配慮し、一定以下の未供養資産には減免措置や成仏促進ポイント還元など柔軟な制度導入も示唆している。
歳入の柱として期待されているのは、近年多発する“亡者マネーロンダリング”対策としての新規課税プログラムと、伝統ある「霊気地方交付税」の再分配構造改革だ。地方幽界からは「出生率低下で地元交付税が減少し、闇経済に走る若返り妖怪が急増している」と訴える声も多く、雲上村長・霜ノ尾六右衛門(没後165年)は「地方消滅を防ぐには、GTX推進資金が首都圏のみ集中することなく、幅広い層に再配分されるルールが必要だ」と語る。
SNS上でも議論は盛んだ。《成仏アカデミー@幽界》主宰の化野春彦氏は「未供養資産への課税強化は短期的にはプラスだが、供養離れや“隠れ成仏”ブームを招きかねず、中長期で財政基盤そのものを揺るがす懸念がある」と指摘する。幽冥財政審議会は来月にも市井の“供養家族ら”の聴聞会を開き、最終案を策定する方針だが、死後社会の根幹を巡る調整は、しばらく続きそうだ。


コメント
昔はこんなに霊界のお金回りが話題になるなんて思わなかったわ。幽霊課税が強化されたら、また供養の手紙のやりとりが増えそうで懐かしい気もするけど、成仏ポイント還元で釣るのはちょっと…複雑。