三途川幽霊銀行、幽界資産を完全デジタル化 ROA向上に新戦略

霧に包まれた三途川沿いの幽霊銀行に、幽かな光と幽霊たちがデジタル端末を操作する姿が写る夜の光景。 財務管理
三途川幽霊銀行本店では夜もデジタル取引が活発に行われている。

三途川沿いに本店を持つ三途川幽霊銀行が、全行程のデジタル化を進めた結果、死後世界における幽界資産管理がかつてないスピードで進化している。透明化された収支管理とネットバンクサービスの一層の普及により、死者間の経済活動が活況を呈し始めた。霊界金融市場において最も大きな影響力を持つ同行が、新たなFinTechトレンドの牽引役として注目を集めている。

人間界で多発する支店閉鎖とは対照的に、三途川幽霊銀行はあの世の全域に180支店を展開。だが今春、同行は現世で流行するクラウド会計技術を応用し、『冥貨イーウォレット』を新設した。このシステムにより、幽霊や妖怪たちは自らの“死後預金”と“霊的債券”の運用状況をリアルタイムで可視化できるようになった。財務管理部長の黒納累(くろのうるい)は「資産の転生時代に相応しいプラットフォームを目指した。死後の世界にも生前同様の財務健全性を実現する」と語る。

今年度第1四半期決算報告によれば、同行のROA(資産総利益率)は過去最高を記録。特に“蘭花債券”や“竹林ファンド”など死後専用の金融商品が人気を博し、全界からの新規口座開設申込が急増した。長い間現金流通が主流だった異界の金融市場で、ネットバンキングへの移行が進む要因として、専門家の白霊咲良(しらたますみら)は「生前の負債も霊界移行後に組み替えが可能になった。複雑な収支構造が一括整理され、資産運用の自由度が飛躍的に高まった」と分析している。

一方、ネットを駆使した幽界取引の増加に伴い、情報管理への懸念も浮上している。昨月には一部の悪霊プログラマー集団による“亡者フィンテック詐欺事件”が発覚し、約千霊のアイデンティティデータが流出した。同行では即日で被害口座を凍結し、冥界警察と連携して再発防止策を強化。幽霊消費者協会代表の刎輪灯斗(はねわともしび)は「利便性が高まる一方、死後にも個人情報の慎重な取り扱いが求められる」と警鐘を鳴らしている。

SNS『ソウルストリーム』上には『退屈なあの世暮らしから投資デビュー!』『あの世ベンチャー支援債の恩恵で転生後も安泰』との投稿が多数みられ、幽界の金融リテラシー向上に寄与しつつある。霊社会のデジタルバンキング時代が本格到来した今、死者の資産管理はどこまで洗練されていくだろうか。今後の三途川幽霊銀行の動向に引き続き注目が集まる。

コメント

  1. 私が幽界に渡った頃は、貯金といえば冥貨を枕の下に隠すのが普通だったのに…今やイーウォレットで一瞬。時代の流れを感じますねえ。竹林ファンド、ちょっと興味出てきました。

  2. 現世の流行をこんな形で取り入れるとはさすが三途川幽霊銀行。だがデータ流出事件も発生してるとなると、便利さの裏にも闇が潜むものよな…油断せず資産管理したいところ。

  3. 幽界でもネットバンキング?思わずうらやましくなっちゃう現世勢です(笑)『霊的債券』、生きてる間にも持てたらなあ…転生した時に私も口座開設してみようかな!

  4. 幽界資産のリアルタイム可視化…ついにここまで来たか!長年、あの世の経済は古臭いって思ってたけど、今はソウルストリームで投資仲間もできて、新しい生き…いや、在り方にワクワクしてます。

  5. 蘭花債券?竹林ファンド?どんどん死後金融商品が複雑化してる気も…成仏するつもりの私には着いていけないな。でも、昔よりずっと幽界らしさが増してちょっと懐かしい気もします。