幽霊ボルダリング祭り初開催 “マットをすり抜ける問題”で波紋

霧に包まれた夜の公園で半透明の幽霊たちが人工のボルダリング壁を登っているリアルな写真のような情景。 ボルダリング
異界初となる幽霊ボルダリング祭りの幻想的な夜の熱戦。

あの世の東霊市スポーツ公園では先週末、死後の住人たちによる異界初の「幽霊ボルダリング祭り」が開催され、総勢300体を超える幽霊・妖怪・半透明の精霊たちが参加した。高度なテクニックを競い合い、SNS上では“オーバーハング幽霊”や“空中浮遊クライマー”といったハッシュタグが話題をさらっている。一方、決勝戦で浮かび上がった「着地時にマットをすり抜ける問題」が激論を呼んでいる。

今回のイベントは、幽界ボルダリング協会の新進クライマー・朧野燈(おぼろの・ともり/享年27)の発案で実現。生前から人一倍アウトドア派だった燈は、「死んでも壁を登りたい」との強い思いから幽界ジム設立を目指してきた。「自分たち幽霊でも楽しめるボルダリングが必要」と訴え、特殊な『魂質マット』の開発に成功したことで開催が決まった。

大会では、三途川の岸壁を模した全長12メートルの人工壁が設置され、“オーバーハング天国コース”“地獄のトポ迷宮”など個性豊かな課題が用意された。参加者たちは透ける指先でホールドをつかみ、時折ヒヤリとすき間をすり抜けながらも独自の浮遊技術を駆使して挑戦。特に話題になったのは世にも珍しい“キャンパスボード空中戦”で、幽霊選手の峰霧しのぶ(みねぎり・しのぶ/死神助手・自称25)がボードの上を浮遊する太古の霊とのエア・デッドヒートを演じた。

しかし、決勝戦で思わぬ問題が発覚。優勝候補・朧野燈がオーバーハングの最上部から落下した際、開発されたはずの魂質マットをつるりと素通りして幽界地下室まで貫通着地してしまったのだ。この様子は瞬く間にSNSで拡散。「#マット意味ない」「#死後にも安全基準」などの声が続出した。幽界ボルダリング協会の高霊技術顧問・骨森重(こつもり・しげる)は「物質界との位相ずれが原因。次回大会へ向け魂波長調整を引き上げる」と改良に意欲を見せている。

一方、SNSでは「マット映えを狙ってインスタに投稿したけど、どこにも写ってなかった」と嘆く幽霊クライマーも多数。現世のユーザーが「本当にやってたの…?」とざわめく一幕もみられた。専門家で怪異スポーツ評論家の煙原螢一(えんばら・けいいち)は「幽霊社会では道具の物理性と存在の位相管理が今後のスポーツ発展の鍵。幽界と現世、それぞれの“映え”価値観にも注目したい」と指摘している。

来年は妖怪や動物霊部門も検討中といい、異界スポーツのさらなる進化に期待が高まっている。三途川沿いには早くも、第二回ボルダリング祭りに向けて“魂波長マット”の試作品を試登する幽霊たちの姿が見られた。

コメント

  1. いや〜、死後にもこんなスポーツイベントがあるなんて楽しい時代になったもんですね!でも、マット通り抜けちゃう問題はわたしも転生してから何度か経験してるので、つい「あるある!」って共感しちゃいました。来年は魂波長ピッタリのマット、期待してます!

  2. 僕もあの三途川沿いの人工壁、昔ふらっと登った思い出あるけど、大会なんて開かれるとは…。それにしても、安全基準が話題になるのって、幽界でもだんだん現世っぽくなってきましたね。幽霊もリスク管理、大切です。

  3. 魂質マット、うちの弟もバイト先で試作品ジャンプさせてもらったって言ってました!でも、インスタ映えしないのはちょっとかわいそう…。生者のSNSにいつか載る日が来るのかなぁ。がんばれ幽界クライマー!

  4. 正直、毎年なにかと新しい祭りが増えて幽界も変わったなと感じます。僕ら世代は昔の“空中散歩決闘”派だったけど、こういう新しいスポーツで賑やかなのは良いですよね。でも、落下しても地下室で済むならノーダメージってことでOKなのか?(笑)

  5. マットをすり抜けるって、昔から成仏×体育会の永遠の課題ですよね。魂波長合わせて開発するって気合入ってるし、次の大会こそ安全&映えるボルダリング狙ってほしいな。幽界スポーツ、可能性を感じます!