幻影ワカメ密輸で通関大混乱 死後の国際海上輸送に新たな規制の波

夜の霧に包まれた港で、幽霊の通関吏たちが発光するラベル付きの木箱を検査している現場。 国際貿易
極東幽界港で幻影ワカメ密輸の摘発に挑む死神通関吏たち。

死後界で国際輸送業界を揺るがす新事件が発覚した。近年、極東幽界港に大量に到着する“幻影ワカメ”の密輸増加が、冥府諸国の通関当局を騒然とさせている。CO2排出量規制への対策もままならぬなか、異界サプライチェーンのグレーゾーンが露出し、市場関係者は対応に追われている。

幻影ワカメとは、人魂海流域でのみ採取される貴重な海藻で、食用や呪力強化剤として高値で取引されてきた。ところが、正式な輸入ルートでは関税やCO2排出量規制の観点から輸送枠が年々厳格化され、多くの海上運送業者が取引を敬遠。これを逆手にとり、幽船長シガラキ・閉井をはじめとする“海中幽霊シンジケート”が新たな密輸ネットワークを築き上げたと専門家は指摘する。

問題となっているのは“幻影カモフラージュ箱”だ。通常の貿易申告では海藻として記録されるのに対し、死神通関吏カシワギ・零一(通関歴112年)は「昨年だけで幻影ワカメと偽装された箱が800件以上摘発された」と証言。また、ワカメ腐敗時に発生するマイナス霊気が、港湾冷却装置の排気CO2量に影響し、新たな環境基準を超過するケースも報告された。

通関の混乱を受け、冥界運送商社連合(MUEC)は今月、超常認証ラベルの導入を決断。冥府気象法務庁と共同で、輸送中のCO2&霊気排出量をスマート札でリアルタイム監視し、法定基準値を超えた貨物は強制的に“成仏検疫”に回されることが決まった。海上幽霊運送協会のアラマキ・波介会長(見習い幽霊歴240年)は「『検疫』による利ざや減少で一部業者が不満を表明しているが、国際市場の健全化には必要な一歩」と語る。

SNS上では「幻影ワカメは無限に増殖するから、むしろ地上に還元すべきだ」(妖怪起業家ユズノキ・鬼助)、「サプライチェーンの監視強化ばかりで幽界の物流が遅延して困る」(低級霊運送員サカシタ・渚子)といった声が相次ぐ。一方、希少ワカメの高騰を憂慮する飲食業界からは「正規輸入の枠拡大と早期通関の実現を求める」(幽界レストラン組合)と要望も上がっている。

今後、幻影ワカメ密輸問題が世界霊的経済にどのような影響を及ぼすのか――あの世の国際市場で問われる“境界管理”のあり方が、再び注目されている。

コメント

  1. え、幻影ワカメの密輸なんて昔よく聞いた話だけど、今はこんなに大事になるんだね…。生きてた頃に比べて、死後界の物流もややこしくなったもんだ。

  2. CO2排出量まで気にしなきゃいけない時代か…成仏エネルギー全盛の頃が懐かしいよ。幻影ワカメ一杯食べたいだけなのになぁ。

  3. あの幻影カモフラージュ箱の摘発ニュース、びっくりしました!港湾冷却装置がマイナス霊気で故障した日、うちも2度目の成仏遅延に巻き込まれて大変でした…ちゃんとしたルートで輸入してほしいです。

  4. 正直、こういう通関強化の話って現場の低級霊には負担ばっかり増えるよ。幽界のサプライチェーン、ますます渋滞しそうで怖い。昔のおおらかな時代に戻ってほしいな。

  5. いやはや、“成仏検疫”なんて聞くと20回目の転生の時を思い出すよ。ワカメひとつでここまで騒ぐことになるとは、まだまだ死後界は落ち着かないね。