死後の世界西部に位置する飛流県で、「河童電力合同会社」（代表：水野河助）が開発した独自の「水素きゅうりグリッド」が、幽界社会の再生可能エネルギー史に新たな一頁を刻んでいる。あの世の河童たちが誇る特殊農法と最先端エネルギー技術の融合が、二酸化炭素削減のみならず幽界の電力網のあり方を根本から変えつつある。
河童電力の主力事業は、きゅうりの地熱温室栽培と地下水からの水素抽出を組み合わせた複合発電システムだ。温室群で発生する熱エネルギーを地熱発電所で変換し、その余熱と河童独自の『冷流触媒』で水素を発生させる。発電サイクルで使われたきゅうりは、“エネルギーきゅうり証書”として再エネ電力証書とともに取引され、蓄電池にも役立てられる。この仕組みは幽界における固定価格買取制度（FIT）開始後、小規模妖怪や村落からのPPA（電力購入契約）モデル採用を呼び込んだ。
奇抜なアイディアに聞こえるが、幽界経済省の調査員・霧島朋也（42）はこう評価する。「近年、古典的な地熱や風力では妖怪村の需要を賄いきれなかった。ところが河童電力のシステムは、きゅうり愛好家層と二酸化炭素削減族との両方を喜ばせています。脱炭素と地域振興が同時に進む現場はほかにありません」。
利用者の声も多様だ。契約主婦のほのか水美（亡・享年39）は「グリッド導入後、夏場も冷蔵庫のきゅうりが1本も萎れず感激」と話し、地縛霊学生の槙島涼太（17）は「きゅうり発電の余剰熱でお化け仲間と夜食パーティが増えた」とSNSに投稿。河童電力は、地熱発電による安定電力と水素社会への橋渡し役にも着手し、自治会単位のスマートグリッド化を進めている。
課題も残る。水野河助代表は「河童以外の妖怪にも参画を拡大しないと、エネルギー自給率全体の底上げは難しい。来年度中に生首発電組合や一反木綿共同体とも再エネ連携を図る」と意欲的だ。この取り組みは幽界の枠を超え、現世社会にも持続可能なモデルケースとして注目され始めている。
コメント
きゅうりが電力に変わる時代になったんだね。生前もきゅうりは夏の縁側の定番だったけど、まさか幽界で冷蔵庫の必需品になるとは…少し懐かしい気持ちになりました。
こういう斬新な発電方法、やっぱり河童さんにしか思いつかないですね！涙目で落ち葉拾ってた頃には想像もできなかった。妖怪仲間として誇りに思います。
そろそろウチの一反木綿自治区にも導入してほしいな。風が強いと送電線がたまに飛んでくから、地熱＆きゅうりは理想的かも…連携計画、楽しみにしてます！
正直、エネルギーきゅうり証書って何に使うの？発行されたら誰か成仏ポイントに換えてくれるのかな。幽界経済は進化してるけど、たまに理解が追い付きません…。
現世じゃきゅうりでカッパ釣る話ばっかだけど、こっちじゃカッパがきゅうりでみんな救ってるのすごい皮肉。次は化け狸発電もお願いします！