死後の世界でも避けられない経済の波──霊都幽ノ都の幽霊世帯や妖怪街の住人らの間で、かつてないインフレーション現象が広がっている。新年度の幕開けとともに、普段は安定していた寄り魂小判や霊糸クレジットの価値が連日大幅に変動。普段なら20念玉で手に入るお化け米（うらめしべい）が、今や35念玉を超える日も珍しくない。インフレの直接的な原因は「怨念資源」の輸入ストップや、物質界との通商トンネル一時閉鎖など複合的な要因だが、実体を持たぬ幽霊たちにもじわじわと生活苦が忍び寄っている。