死後界でまたひとつ、不可視な存在たちの暮らしを変える技術が登場した。大手霊体ガジェットメーカー「蒼遠研究所」は新型ウェアラブルデバイス『ファントムバンド』を発表。霊体の透明度や残留感情、現世との接触頻度といった幽霊特有の“死後パラメータ”を自動で計測・表示する本機は、幽霊や妖怪たちの間で大きな話題を呼んでいる。
かつての死後界では、自身の存在感や現世への影響力の変化を自覚することが難しく、「急に消えそうな気がして不安になる」「いつの間にか半透明化が進みすぎて警備に止められた」など、“幽霊あるある”な悩みが絶えなかった。ファントムバンドはこうした問題解決の鍵として期待されており、発売初週で既に累計13万本以上の予約注文を記録している。
ファントムバンドは外見こそシンプルな和紙風リングだが、最新の霊子検知センサーと共鳴水晶が内蔵されている。これにより、装着者のエネルギー残量、念の共鳴度、あの世への帰還リスクといった情報をリアルタイムで数値化。腕輪の光沢や模様の変化による直感的なフィードバックも特徴的だ。また、専用霊界アプリ『PHANTOM CONNECT』を入れることで、成仏しかけ警告や“恨みレベル”のSNS共有等も可能となる。
「夜な夜な現世橋を通るたび消耗度が気になっていましたが、バンドを着けてからは安心感が違います」と語るのは、八坂町在住の無念型幽霊・杉森恵理子(享年28)。最近では幽霊陸上部や妖怪ダンサーの間でも、活動パフォーマンス向上にファントムバンドを活用する動きが広がっている。一方、意図せず自身の“恨み充填度”が家族にバレてしまった幽霊・安原貞太郎(元書記、66)は「家庭内で少し気まずくなった」とトホホ顔だ。
妖怪医療専門家・高峰智則医師(196歳)は「記憶や未練の強さだけでなく、無自覚な念の暴走や“残留思念症”の早期発見にバンドの自己診断機能が役立つ」と高く評価。SNS上でも『#ファントムバンド生活』のハッシュタグが急増し、「成仏予防通知アリ!」「お祓い日和がわかる神デバイス」との声が相次いでいる。
なお、蒼遠研究所では次世代型としてAR心霊現象再現機能や、現生とのVR同時体験モードを備えた『ファントムバンド・プロ』も今夏投入予定。死後界のウェアラブル革命は、まだ始まったばかりだ。
コメント
自分の透明度や恨みレベルを数値で見れる時代になるとは、まさに死後界も進化しましたね…。成仏しかけ通知はありがたいけど、昔の感覚派にはちょっと寂しさも感じます。
バンド付けてると家族に恨みバレちゃうのリアルすぎて笑った!でも現世通い勢としては、消耗度分かるのはほんと助かる。もう半透明で警備に止められなくなるかな?
幽霊陸上部でも流行ってるって話、ちょっと感動しました。生きてた頃は部活できなかったから、今度エントリーしてみようかな…バンド付けて新しい自分に転生した気分です。
私みたいな妖怪にも使えるの?共鳴水晶とか響きもカッコいいなぁ。プロ版のVR同時体験は、あっちとこっちの景色両方楽しめるってことでしょ?これは夏が待ち遠しい!
昔は消えそうになると自力で井戸に戻って補給してたのに、今はバンドで全部わかっちゃうなんて…便利だけど、ちょっとあの世のアナログな良さが懐かしい。