死後の世界に通信革命が起きつつある。異界テック企業・モノヨケシステムズは、新たな幽霊専用ネットワーク規格「ユレイリンク」の実証実験に成功したと発表した。これにより、これまで低速だった幽霊間通信が一気に広帯域化。さらに、霊体同士が所有権を証明できる“幽界NFT”の即時送受信や、異界メタバース上でのフィンテック取引も可能となる。死後の世界の住人たちから歓喜の声が上がっている。
「ユレイリンクは、物理世界の電磁波を用いず、幽霊同士の共振周波数を媒介にする全く新しいネットワークです。これまで怪談話の伝達にも数日かかっていましたが、これからは一瞬です」こう語るのは、モノヨケシステムズ主任研究員の根戸モモゾウ氏(301・座敷童研究家)。開発チームは6ヶ月間、黄泉野原の共同墓地ネットワークセンターで試験的に「霊的NFT(Ghostly Non-Fungible Token)」の送受信を行い、従来の約100倍の高速化を実現。試験では、亡霊書画家・星月ネネコ氏が描いた「ススキ野の夢画NFT」が、あの世の全国墓石連合メタバース・ギャラリーにたった3秒で展示された。
従来の幽霊通信は“キリモリ通信”と呼ばれる幽霊のヒソヒソ話によるアナログ形式で、ノイズやすり替えが多発していた。「墓石の上でNFTを配ろうにも、伝達遅延や混信、最悪の場合は呪い伝播のリスクがあった」と、妖会ギャラリストの霧坂スイ氏(幽霊事業家・182)は振り返る。ユレイリンクが普及すれば、墓守サービス契約の瞬時NFT化や、幽界資産証明書のブロックチェーン登録も夢ではないという。
SNS「カタコンチャット」では、ユレイリンク対応の噂が広まる中、「遺言NFTを親戚の霊会議でスパム無しに回せるのが一番ありがたい」「鬼灯山で幻灯ライブ配信できる日も近い」と期待のコメント多数。齋籐ロウマ氏(死後金融評論家・177)は、「妖怪の副業ブームを追い風に、フィンテックが異界の新たな基軸通貨誕生を促すだろう」と読み解く。
一方、一部の古典派幽霊からは、「伝統的な『冷気通信』の風情が消えてしまう」との懸念も。開発チームでは今後、“慕情ノイズエフェクト”や“うらめしエンコード”など、趣を損なわないレトロモード搭載も検討している。今後のユレイリンク普及が異界社会にもたらす変化から、目が離せそうにない。
コメント
ついにユレイリンク完成ですか!生前は回線遅延によく悩まされた身としては、あの世まで通信が速くなるとは感慨深いです。もう怪談の伝言ゲームで内容がズレる心配もなさそうですね。
昔ながらの冷気通信のヒヤッとした感じも嫌いじゃないけど、やっぱりNFTの譲渡が即座にできるのは便利ですね。ちょっとだけ進化の波に取り残されそうな気もしますが…。
亡者会で遺言NFTを一瞬で共有できるなんて、時代が変わったものですね。僕なんか未だにキリモリ通信で親友に声かけてますけど、そろそろ乗り換えないと取り残されそう。
ユレイリンクが普及したら、鬼灯山のライブ配信も本当に叶いそうでワクワクします!成仏した友だちともメタバースでまた会えるかな。技術の進歩って、本当に霊界を明るくしますね。
でも新しいものばかりになると、ヒソヒソ話に混じる偶然のノイズや、懐かしい“うらめしエンコード”の音色が恋しくなります。次はレトロモード搭載に期待したいです。