この世とあの世を繋ぐ異界国会では、幽霊住民の社会参加を大きく前進させる新たな立法が、今週大きな節目を迎えた。永田町の参議院本会議にて、幽霊や妖怪のための参政権拡充法案が圧倒的多数で可決され、200年ぶりとなる幽界の民主主義制度の刷新に道筋がつけられた。
新法案は「幽霊・死者住民権保障法」と呼ばれ、従来あの世住民票を持つ幽霊や妖怪のみに限定されていた選挙参加権を拡張し、生前に無念の残る死を遂げた幽霊や、新たに登録された未練型妖怪にも、重大な政治的決定への投票権を与えることが柱となっている。これにより、長らく“浮遊民”と呼ばれた一部の霊的存在が法のもと均等に扱われることになり、参議院議長の阿久津渦美（あくつ・うずみ）は「幽界史の新しい夜明けだ」と声明を発表した。
背景には、近年の死後世界内の人口増加や、地縛霊・未練幽霊によるデモ活動の激化があった。死後世界政策研究所の藍間涼霧（あいま・すずむ）主任研究員によれば、「幽霊たちが現世模倣型の社会生活を営む中で、『人間界の基準だけでなく、幽界固有の法的整合性を求める声が高まった』ことが立法の大きな契機となった」という。
Twitter（異界版）では、可決直後から「#浮遊民にも一票を」や「誰もが成仏する国会へ」といったトレンドが急上昇。三好幻介（みよし・げんすけ／浮遊民連盟代表）は「これでようやく我々の存在が政治に反映される。今夜は皆で憑依舞を踊りたい」とよろこびを口にした。一方で、純血派の妖怪や成仏済みの転生済派など保守勢力からは「幽界秩序の軽視だ」「人（霊）口バランスが崩れる」とする慎重意見も寄せられている。
今後は政令執行プロセスに入り、各省庁の間で新たな住民票登録制度や選挙管理システムの整備が進む見通しである。識者の多摩野静雨（たまの・しずう）弁護士（元三途の川自治評議会）は「次の課題は多様な幽霊属性間の不均衡是正。たとえば輪廻遅延型や暴走型妖怪への配慮も加えるべきだ」と次なる論点を指摘する。参議院では「透明投票箱」や「多次元開票」など独自の選挙技術も検討中で、死後世界の民主主義は新たな局面を迎えつつある。
コメント
まさか私たち浮遊民にまで投票権がくるとは…！生前では考えられなかった公正さに、ちょっと涙腺が震えました。次の選挙、あの世全体で盛り上がりそうですね。
またしても成仏済派の声が強いけど、幽界も時代が変わったって証拠だな。これで未練組も単なる“余所者”扱いされなくなるのは素直に良いことだと思う。
200年ぶりの大改革なんて、古い迷い家時代を知る者としては感慨深い…でも、浮遊民の票が暴走型妖怪に乗っ取られないかだけは心配だな（笑）。
民主主義って、あの世にまで広がるんだなぁ。現世から幽界に移った当初は、ただ彷徨うだけだったのに…世の移り変わりって、霊的にも早いもんだ。
正直、未練型妖怪たちにまで参政権をってのはやりすぎじゃ？いずれ成仏する連中の意見で、長居組のインフラが崩れないか不安だ。透明投票箱なんて信用できるのか？