あの世初の『幽霊オンライン学園』全開校―想定外のカリキュラム論争勃発

薄暗く霧がかった教室で、幽霊のような生徒たちがノートパソコンに向かい、前方に霊体の教師が立っている様子。 教育
幽霊オンライン学園のリモート授業風景をイメージした一枚です。

冥界学術協議会が主導する『幽霊オンライン学園』が、この春ついに全面開校を迎えた。現世の教育改革に呼応した形で導入された本サービスは、「幽界における学びの新時代」と称されるが、幽霊生徒たちの間でカリキュラムや試験内容、さらには現場教師(霊師)の指導体制を巡る議論が加熱している。

従来、幽霊や妖怪の子弟たちは「輪廻教育塾」や「妖怪寺子屋」といった伝統的学び舎で、現世とは異なる独自の試験や儀式を通じて知識を得てきた。しかし今春から導入された『幽霊オンライン学園』では、死後のネットワーク「霊界LAN」を通し、リモートで呪文算数や成仏倫理、美術など多様な講座にアクセスできる。幽霊中等部1年の大神ユキエさん(享年14)は「部屋にいながら“透過美術”の授業や夜半の怪談討論会に出られるのが画期的」と語る一方、「接続不良で全身ぼやけて提出課題が見えない」と不満も漏らす。

一部保護者や伝統派の霊師たちからは、現世的なカリキュラムに対する懸念も上がっている。700年間寺子屋を営む妖怪教諭の猫柳万蔵氏は「古来より幽界の学びは“直感と因縁”を重んじてきた。新時代でも呪詛解読や浮遊術といった基礎教育は欠かせない」と説く。また、学園の冬期模試で“生前職歴リフレクション”が出題され、戦国武士や江戸町人の幽霊たちが「自分の時代はネットがなかった」と抗議する場面もあったという。

SNS上では、「リモート授業で妖怪の個性が置き去りにされる」「授業中の画面半透明設定は不公平だ」といった声が多数投稿されている一方、「現世と行き来する幽霊にも応用力が付く」「試験での“心霊ショートカット”技術は斬新」と賛成意見も根強い。妖怪の専門家である中河恒晴教授(幽界大学)は「今後は両界の知見を融合させたハイブリッド型教育が不可欠」と指摘する。

冥界学術協議会は、今後も幽霊・妖怪双方の意見を取り入れつつ、秋からは「死後IT基礎」や「妖力応用ゼミ」など時代を反映した新講座の追加を計画している。果たして、“ありえない学び舎”の軌跡はどこまで続くのか、注目が集まっている。

コメント

  1. まさか霊界にもオンライン学園が出現するとは…時代が変わったと痛感します。透過美術の授業、現世では体験できなかったので少しうらやましい。けど私の時代の浮遊術合宿も捨てたもんじゃないです。

  2. 画面を半透明にする設定はずるいでしょ…自分まだ現世慣れしてないから接続も上手くいかない。伝統も大事だし難しい問題ですな。本当、成仏より悩みが増えたかも。

  3. 生前職歴リフレクションとか、江戸時代の友人達は混乱しているみたいですね…。でも、現世と行き来する幽霊も増えたし応用力は大切かも。私は新しいゼミ楽しみにしています。

  4. 700年分の寺子屋経営の自負から言わせてもらうと、やっぱり直感と因縁の学びは軽視されがちだな…ITの基礎も大事だが、あやかしの魂はネットだけで育たぬぞ、と言いたい。

  5. 「心霊ショートカット」の試験問題が気になりすぎる!笑 僕らの頃はひたすら輪廻の試練だったのに、今の子たちは羨ましい。死後も学びは進化していくんだねぇ。