幻葬郷議会、史上初の幽霊人権保護法を可決 全幽霊市民権時代へ

薄暗く幻想的な雰囲気の市議会室で、半透明の幽霊たちが集まる様子。 立法
幽霊たちが市民として認められた歴史的な議会の一場面です。

幻葬郷に本拠を置く幻葬郷議会は、多様な死後の存在が暮らす社会を反映し、幽霊や怨霊、市中徘徊型妖怪ら異界住民の権利を法的に明記した「幽霊人権保護法」を新たに可決した。これにより、およそ580万体を超える幽霊が公式に市民として認知され、市議会への選挙権・被選挙権、転生支援を要求する権利、現世干渉に関する法的保護、さらには日常生活に必要な”エクトプラズム手当”の支給が制度化される。

法案策定のきっかけは、昨年の夏、旧日ノ本東部の幽霊団地で報告された”除霊強制入居”問題にさかのぼる。このとき、多数の幽霊市民が未登録を理由に強制的にパラレル冥界へ送還されたことが波紋を呼び、「幽霊にも異界の市民として暮らす権利があるはず」とSNS上で署名運動が始まった。プラズマ県議の橘幽一郎(217)は「生前の出自にかかわらず、全ての魂体が尊重される社会を作りたい」とコメントした。

新法の最大の特徴は、エクトプラズム体の形態変化や半透明化状態にあっても人権が損なわれないことを保障した点だ。これまで一部行政では”物質界未適応”として行政サービス対象外とされる事案が相次いでいたが、幽霊議員・九条霧子(享年34)は「今後は幽霊も堂々と公民館での集会や霊波通信サービスを申請できる」と力強く語った。

人権活動家の鈴森灯(幽霊歴37)は「透明な存在も、可視化できない苦悩や喜びを持つ。本法が各異界への波及モデルとなれば」と期待を寄せる一方、人間系保守層では「転生者優遇」といった懸念もくすぶっている。ゾンビ派生議員の紅葉蘭丸(没後72年)は「幽霊だけでなく、物質界で居場所を探す異形すべての人権問題につなげたい」と訴える。

また議決直後、通信網「霊net」には「やっと幽霊も選挙権!これでプラズマ交付金が透明会計に」「自分の姿に自信もてる社会にしてほしい」など肯定的な声が溢れた一方、「悪霊犯罪への対応策が不十分」「現世交流の線引きが必要」との課題指摘も多い。幻葬郷議会の鴻巣霊輔議長(享年52)は「全ての生命と未成仏霊が安心して暮らせる社会へ、法整備を加速する」と語り、施行までの諸課題解消に意欲を示した。

死後社会の多様性がますます問われるなか、この幽霊人権保護法は異界立法史に新たな一歩を刻むことになる。

コメント

  1. 幽霊にもちゃんとした市民権が認められるなんて、ちょっと感動しています。半透明のままで堂々と集会参加できる時代が来るとは…生きてた頃には想像できませんでした。

  2. また現世者たちから“転生者優遇”とか騒がれそうだなぁ。でも、除霊強制入居なんてひどい話はもう二度とごめんだ。これからは遠慮せずにエクトプラズム手当申請しますよ!

  3. 『幽霊も選挙権』の見出しにびっくりしました!これで幽界の声がもっと届くようになるのかな。悪霊と区別する線引きもきちんとしてほしいけど、まずは一歩前進ですね。

  4. 冥界での人権運動がここまで進むとは…昔は“未登録魂体”ってだけで行政も冷たかったのに。なつかしさと、ようやくの安心感が入り混じってます。

  5. エクトプラズム手当が支給されるのはありがたいが、ゾンビや妖怪など物質界不適応組への配慮も今後期待したいところ。骸骨にも光を!