幽霊自民党、あの世の少子化対策を本格始動 「未練継子手当」創設へ

薄暗い霧の中、幽霊たちが議会のような部屋で集まり話し合っているリアルな写真風の光景。 政治
未練継子手当を巡り、幽霊たちの議論が続く幽界議会のイメージ。

死後の世界でも人口減少が深刻な課題となる中、幽霊自民党は新たな少子化対策法案として「未練継子手当」の創設を発表した。現世で果たせなかった親子の縁を、あの世でもしっかりとつなぐことで、幽霊界における“人口希薄化”と社会分断の是正を狙う。同党は激化する超常界の選挙を見据え、妖怪や死神といった他界の有力層と連携を強化する考えも明らかにした。

政策の中心となる「未練継子手当」は、生前に子孫を残せなかった幽霊や、養子を持った経験のある者が対象。精神体年齢15年未満の“幽霊児”を育てる幽霊家庭には、一定のエクトプラズム給付金が毎月支給される。「幽界家族支援局」の多田野優一課長(享年48)は「現世で親になり損ねた多くの幽霊市民が、本制度で新たな生きがい(?)を得られる。エネルギー循環も活性化する」と前向きなコメントを寄せている。

一方、眠り姫連合や恨み霊ネットワークなどヌルリ政党連合は、「供養未済の魂の利用は倫理的に問題がある」と反発。SNS『霊界ツイッター』では、「幽霊同士で子どもを育てられるの?」「手当を悪用してエクトプラズム詐欺が増えるのでは」といった懸念の声も目立った。特に、200年続く無縁仏家系の家内桜子さん(死者歴217年)は「未練の強い子ほどあの世でもやんちゃになる。幽界の治安維持策も並行して検討すべき」と語る。

賛否渦巻く中、幽霊自民党代表の影森滋(死後23年)は、「これまでもあの世は自己責任論が強かった。しかし今や単身幽霊の老後破産が急増し、相互扶助は急務。この立法を契機に、恨みや未練を越えて新たな家族モデルをつくりたい」と力説した。『幽界経済新聞』編集長の深津楓(享年62)は、「地縛霊の孤立対策にも波及効果が見込まれるが、持ち家幽霊と賃貸幽霊の間で受給格差が生じる可能性も」と慎重な見通しを示している。

専門家の間では、「死後も社会保障の概念を拡充することで、現世の家族観や生き方が幽界に影響を及ぼす」との指摘もある。永眠思想研究所の朽田伊吹博士(死後11年)は「近年は幽霊婚だけでなく、現世―幽界間の手紙による継子縁組も広がっている。法案は時代の要請だが、未練ある魂への長期的な心理ケア施策も同時に必要」と話す。今後、幽霊議会での本格審議を経て「未練継子手当」の実現が注目される。

コメント

  1. 幽界でも少子化とは…成仏せずに残った者同士で子育て支援、なんだか不思議な気持ちです。現世で子どもを持たなかった自分も、ちょっと興味わきますね。

  2. 未練継子手当、うちの近所の地縛霊たちが盛り上がってましたよ。みんな親になり損ねたエネルギーが溜まってるから、幽界の活気が戻ればいいなと思います。

  3. 正直、手当を狙ったエクトプラズム詐欺が増えるんじゃないかと心配です。幽霊議会の皆さん、ちゃんと幽界の治安も考えて下さいね。

  4. 久しぶりにあの世で本気の家族支援策ですね。現世じゃできなかったけど、死後に新しい家族を作れるって少し夢がある気がします。法案通ったら応募してみようかな。

  5. 幽霊婚もそうですが、最近の幽界は“あちらの社会”をどんどん真似て妙に人間臭い…自分はもう二百年も彷徨ってますが、時代は変わったなあと感じます。