幽界政府が緊縮財政案提出、冥府市民からため息と不満の声相次ぐ

霧に包まれた幽界の議会前に、ぼんやり光る幽霊や妖怪たちが静かに集まっている様子。 財政政策
幽界政府の緊縮財政案を巡り、議会前に集まる霊たちの不安な空気が漂う。

幽界政府は先週、過去最大規模の財政赤字を背景に、新たな緊縮財政案を魔京議会に提出した。冥府で働き暮らす幽霊や妖怪たちの間で、大幅な社会保障費削減案や減税見送りを巡る議論が広がり、経済活動や生活への影響が懸念されている。

財政局の黒尾玄三郎長官は「このままでは歳入が追いつかず、来世銀行からの借り入れも限界。均衡財政に向けて全セクターに痛みを伴う改革が不可欠」と会見で説明した。提案された緊縮案では、魂保険の給付額引き下げ、冥府年金の受給開始年齢の引き上げ、呪力物価安定基金への拠出見直しなどが含まれる。その一方で、すでにインフレ率は2.5%と過去100年で最高水準となっており、庶民階層の間では「削る余地はもうない」との声が多い。

街の声を聞くと、多忙な死神会社員の灰原シノブさん(28)は「この霊界通貨の価値が毎年下がるのに、年金開始を遅らせるなんて…漂う魂の居場所が減ってしまう」と嘆く。百鬼夜行商店街で商いを続ける河童商人の蓮田ヌメ吉さん(57)は、「景気刺激策も大事だが、潰れる商店が増えれば浮遊霊も増える。もっと金融緩和してほしい」と政策当局へ注文する。

一方、妖怪経済研究所の桔梗ハルカ主任研究員は「幻想経済圏全体の債務残高が膨張する中で、短期的な支出圧縮はやむを得ない。ただ、幽界経済の特性上、幽霊移民や新たな死後ビジネスによる歳入確保策も検討されるべき」とコメント。SNSでも『緊縮反対』『死後も倹約なんて…』といったハッシュタグがトレンド入りし、若いゴースト層の不満が可視化されている。

財政委員会の採決は来月予定されており、市民団体「冥府の暮らしを守る会」などは大規模なデモの準備を本格化させている。はたして、現世とは一風変わった異界の財政危機は、どのようにして乗り越えられるのか。幽界政府の舵取りが注目されている。

コメント

  1. あの世に来てまで倹約生活を強いられるとは思いませんでした…。生者の頃の節約術、また活用する羽目になるなんて。魂保険の引き下げも地味に痛いです。

  2. 来世銀行への借り入れが限界って…そんなの初耳。冥府年金まで減らされたら成仏できない年寄り増えそう。どこまで我々に我慢させるつもりなんでしょうか。

  3. 呪力物価安定基金の拠出見直しは仕方ないとは思うけど、浮遊霊が増えた百鬼夜行商店街、昔より活気がなくなってきて寂しいです。もう少しみんなの暮らしを考えてほしい。

  4. 個人的には幻想経済圏全体を考えて、歳入増やす策も並行してほしいなぁ。せっかくこの世では経験できない不思議な仕事が多いんだから、死後ビジネスの新規参入も応援したい。

  5. こういう時こそ幽界政府にはしっかりしてほしいものだな。宙に浮くだけじゃなくて、地に足(あればの話だが)をつけた財政運営を頼む!死後の不安がまた増えるわい。