死後の世界で開催される最大級の映画イベント『異界国際ファントム映画祭』で、妖怪監督・大槻ふゆか(128)が手掛けたホラーコメディ『カササギ温泉の夜』が異例の大ヒットとなっている。幽霊や妖怪の鑑賞者たちがこぞってシネコン「月影シネマプラザ」に押し寄せ、満席上映が連日続くなど、異界エンタメ界に旋風を巻き起こしている。
『カササギ温泉の夜』は、成仏を志す幽霊女将と、悪霊客たちとのドタバタ温泉騒動を描いた異界ならではの奇想天外な物語。主演の幽霊俳優・草薙蓮(没後67)は、本作で“入浴中に溶けかける幽体”を熱演。「幽霊が本物の湯気を嫌う」という死後の世界特有のギャグが、観客から共感と大きな笑いを呼んでいる。
映画祭会場となった「虚町大劇場」では、全国各地から訪れた幽霊たちによる感想がSNS『霊界ポスト』上で盛り上がっている。「あの温泉の湯煙を体感したら1週間は霊力が泡になる」「死後も肩まで浸かりたい名作」と投稿した骨董屋店員(死後浅め・92)は、上映後に涙のインタビューにも応じた。また、妖怪評論家の本田肺石(享年211)はオンライン生放送で「死後初、幽霊と妖怪が共演して自然に笑える脚本。世代を問わず異界をつなぐ映画体験」と語った。
『月影シネマプラザ』では上映前に“絶叫体験時間”を設け、観客である幽霊や小型妖怪らが本物の怨霊パフォーマーによる飛び出し演出に大喜び。館内スタッフによれば、「子泣き地蔵(霊界学園生・11)」たちが〝あまりの怖さに魂が抜けて二週目鑑賞に走る〟現象も見られている。美術担当の斑鳩みお(見習い一反木綿・年齢不詳)は「異界でも温泉ブームが再燃しそう」と語る。
今年の映画祭は初めて人間界メディアとの連携を発表しており、妖怪作家・月岡煙作(173)は「人間界と死後の世界がシネマでつながる日も近い」と期待を寄せる。『カササギ温泉の夜』は今後、雪女専用シネコン『氷結座』や地獄ロケ地での野外上映も予定されており、異界映画市場の新たな伝説となる気配が漂っている。
コメント
『カササギ温泉の夜』本当に面白かった!亡くなってからも温泉騒動で笑えるなんて、成仏欲がいったんどこか行っちゃいました。草薙蓮の幽体溶け演技、見事すぎて拍手しそうでした。
幽霊が本物の湯気を嫌うネタ、わかりみしかないです。前世の記憶がうっすら残ってて、なんだか懐かしい気持ちになりました。生前も温泉好きだったから、異界でもまたブームくるの嬉しい!
絶叫体験時間って、昔の怪談大会を思い出しますなぁ…。ただ、魂が抜けるほどビビるのはちょっと困る笑 二週目どころか、三週目も観に行くか迷ってます。
いや、人間界と連携とか言い出した時は、とうとうこの世とあの世の壁も薄くなったかと驚きましたよ…。でも、雪女専用シネコンとか地獄野外上映とか、死後の世界はやっぱり自由で面白い。
映画祭って若い頃は華やかで苦手だったけど、虚町大劇場の雰囲気は妙に落ち着く…。カササギ温泉、あの世の温もりと冷たさが絶妙で、ちょっと前世を思い出して、ほろっとしてしまいました。