冥界初の“ゴースト・ジャズ・フェス”、人気霊ミュージシャンが競演 カラオケ会場も熱狂

霧がかった冥界のコンサートホールで半透明なサックス奏者とアストラル・ジャズバンドが演奏し、幽霊や妖怪の観客が幻想的に踊っている様子。 音楽
ゴースト・ジャズ・フェスティバルで盛り上がる冥界の音楽ファンたち。

幽界の音楽ファンたちが今年もっとも注目するイベント、第一回『ゴースト・ジャズ・フェスティバル』が冥界新都のリバース・ホールで開催された。参加アーティストはすべて幽霊や妖怪という異例のラインナップとなり、ライブ会場からカラオケバーまで、死後の世界はかつてない熱狂に包まれている。

本フェスでヘッドライナーを務めたのは、半透明のサックス奏者・月森レン(享年不明)率いるアストラル・ブルースバンド。月森氏は、霊体ならではの波動を操った”負のエネルギーセッション”で観客を魅了。その楽曲『隧道の夜』は会場全体の浮遊霊たちをダンスフロアへ引き寄せ、SNS「Yuresta」では「魂が躍る音色」「生前の悩みが成仏しそう」と絶賛のコメントが続出している。

注目の新人として登場したのは、名古屋から現世渡りを果たしたばかりの座敷童シンガー・小槌ミサキ(永遠の12歳)。彼女の透き通るハイトーンボイスによる『こどくの手毬唄』は、長年の浮遊生活でリズム感を失いがちな精霊層の支持を得て、配信開始から3時間で冥界ストリーミング「SpecterTune」再生ランキング一位を記録。ミサキさんは「来世でもこのステージに立ちたい」と涙ながらに語った。

また、今回特設されたカラオケ会場『カラフル逢魔』では、誰でもフェス参加楽曲を楽しめるとあって長蛇の列ができた。現場取材したカラオケ設備管理士(幽鬼・72年目)の松月士郎さんによれば、「死後100年組の熱唱力は生前よりパワーアップ。とくにお盆休み明けの幽霊たちは、積年の想いを込めてシャウトする傾向がある」とのこと。一部の亡霊によるリズムの“時空ズレ”も話題となり、会場を和ませていた。

フェス運営委員会の代表・猫又ミヲリ氏(齢不詳)は「幽界にも生前の悩みや鬱屈が残っています。しかし音楽があれば、境界線を越えて心を一つにできる」とコメント。今後はバンシーによるボーカル選手権や、河童DJナイトなどの姉妹イベント拡大も検討しているという。音楽教育者の立場から、冥界音律院の講師・鵺川椎奈さん(死後50年)は「死後のリズム教育こそ大切。無念の魂ほどジャズのアドリブが伸びやすい」と分析し、異界ならではの新たなエンタメの可能性に期待を寄せている。

SNS上では「ジャズも幽霊も、即興が命」(幽霊会社員・45年目)、「また生き返ってでも聴きに行きたい!」(妖怪・百鬼)など、現世も巻き込む熱い交流が続いた。今後、死後の世界の音楽シーンがどこまで進化するのか、多くの音楽ファンの注目を集めている。

コメント

  1. 月森レンさんのサックス、やっぱり霊体で聴くと響きが違いますね。生前はこんな体験できなかったなぁ。あの夜ふわりと踊った仲間たちを思い出して、なんだか懐かしい気持ちです。

  2. 小槌ミサキさんの『こどくの手毬唄』、本当に鳥肌も立たないほど透き通ってたぞ。精霊にも支持されてるってのも納得。あの子の魂はまだ若いのに、響き方が深淵なんだよな。

  3. いや〜、カラオケ会場の時空ズレ現象には笑った!自分も百年目でリズム覚え直し中だけど、ズレたらズレたで盛り上がるのが冥界流なんだよ。フェスは転生前よりずっと楽しめる。

  4. 最近の幽界は本当に熱い!昔は隧道でボソボソ唄って追い払われてたのに、今やフェスで主役なんて…長く浮遊してる甲斐もあるものですね。来世に向けてボーカル練習しようかしら。

  5. バンシーによるボーカル選手権とか河童DJナイトとか、次の姉妹イベントも気になりすぎる!死後でも音楽で繋がれるって、幽界も悪くないなって思えてきました。