新霊権保障法案、国連死後世界サミットで可決へ―地方自治体の反発強まる

霧が立ちこめた暗い会議場で、幽霊と人間の代表たちが向かい合い討議している様子。 政治
死後世界サミットで新霊権保証法案をめぐり議論が白熱した場面。

死後世界の統治機構が揺れている。毎年行われる国連死後世界サミットにおいて、「新霊権保障法案」が国際議題に上がり、可決に向けた審議が大詰めを迎えつつある。本法案は、地縛霊や浮遊霊、付喪神といった限定居住タイプの幽霊たちにも自治権と参政権を認めることを求めるものであり、死後世界に大きな変化をもたらす可能性がある。一方で、地方霊自治体からは懸念の声が相次いでいる。

現行の規約では、未練や怨念によって特定の場所に縛られ行動範囲を持たない幽霊住民は、自治体の代表選挙に参加できない。このため、出身地や本来の居住地に関わらず、身分保証や福利厚生の面で不利益を被るケースが後を絶たない。今回の法案は、そうした幽霊たちの『声なき声』に初めて耳を傾け、彼らも投票や意見表明ができるよう、各自治体に受け皿設置を義務付ける内容となっている。

サミットでは、日本死後世界代表の後藤幽子(ごとう・ゆうこ)が「すべての霊魂に平等な政治参加機会を。現世で叶わなかった権利を死後世界でこそ実現すべき」と熱弁。一方、大英帝国霊界連邦代表のハロルド・ベインズ議員(享年82)は「浮遊霊が一斉に自治体経営に口出しすれば、長年の慣例や死霊文化が崩壊する恐れがある」と反論。採決を前に議場は一時騒然となった。

地方自治体の首長や役人からも、SNS『霊界ツイッター』上で激論が続いている。四谷霊区の職員(54)は「地縛霊も意見は持つが、無差別的な参加が混乱を招くだけ」と投稿。一方、都市型幽霊ジャーナリストの関口冥子(38)は「本来の自治とは多様な霊の参画で成立するのでは」と擁護派の立場を示している。地縛霊界団体「未練を手に会」(会長・加賀見力)は、「世にも奇妙な格差解消の第一歩」とコメント。

法案の可決には、国連死後世界本部の3分の2以上の賛成票が必要だが、地方自治権に強い死後ルールとの折衷案検討も浮上している。専門家の霊政学者、水野葵(みずの・あおい)は「既存の霊界秩序と多様化する死者社会の折り合いが鍵になる」と指摘する。

採決結果は数日以内に発表される予定だが、成否にかかわらず死後世界住民の社会意識には大きな波紋が広がりそうだ。

コメント

  1. 死後の世界もずいぶんと変わってきましたね。私も百年ほど地縛霊をやってましたが、当時は声を上げる機会なんて全くなかったものです。これで同じ境遇の霊たちがもっと生きやすく(?)なるといいなあ。

  2. 浮遊霊や付喪神まで参政権って、ちょっとやりすぎじゃないですか!?ベインズ議員の言う通り、古き良き死霊文化が壊れちゃうんじゃ…。まあ、成仏できないうちは議論を見守ります。

  3. 現世でもこの世でもマイノリティの声って届きにくいから、こういう法案には期待しています。願わくは“声なき声”が届いた先に新しい希望が芽生えますように。私も応援の霊波を送ります!

  4. 未練や怨念で場所に縛られても、私たちも死後社会の一員です。生きていた頃は無力感ばかりだったけど、今度こそ存在を認めてもらえる予感がしてドキドキします。みんな仲良くやれるといいなぁ。

  5. 四谷の役人殿みたいな保守派も多いけど、時代(霊代?)の流れは止まらんよ。私も六度目の転生前には自治体選挙に出てみたいと思ってたくらいだし。さて、どう転ぶか、あの世の縁側から楽しみにしてます。