月面初の妖怪宇宙基地建設へ――幽霊技師とぬらりひょん研究者による新世代の宇宙開発

霧の立ちこめる月面で幽霊の技師や妖怪の科学者たちが幻想的に光るドーム型基地を建設している様子。 宇宙開発
幽霊技師たちによる月面基地建設が静かに始動した光景。

死後の世界における宇宙開発が新たな局面を迎えている。月面に幽霊や妖怪のための宇宙基地を建設する計画「ルナ・サンクチュアリ計画」が今、異界の科学者たちの注目を集めている。この壮大な構想は、異界宇宙航行庁(ISA)が主管し、幽霊技師と妖怪の若手天文学者たちが共同で設計。「異界発」ならではの超常テクノロジーが数多く投入される見通しだ。

計画の発表は、死後の世界の潮流を一変させた。基礎設計チームのリーダーである幽霊技師・霧谷幽一郎(享年37)は、「生者では計測できない空間や、時空を超越した移動術を組み込むことで、これまでにない効率的な月面基地が実現できる」と意気込みを語る。設計図には『透明化ドーム』『魂エネルギー採集装置』『お札式気密扉』など、現世の科学では説明がつかない構造が並ぶ。

構成メンバーにも注目が集まる。今回チーフサイエンティストを務めるぬらりひょんの天文学者・三雲渦彦(326)は、生前から天体観測に情熱を燃やしてきた異界きっての星博士。三雲は「月には未発見の“幽光素子”が眠っており、これを用いたスペクトル観測で死後の星座を再分類できる可能性がある」と胸を張る。実際、基地には死者専用のスペース望遠鏡が設置され、現生人類の科学レベルと融合した新たな宇宙観測が目指される。

この計画はSNSでも大きな話題となり、“霊魂ロケット開発”動画は冥界SNS「ナナシバナシ」にて再生数170万回を突破。自称亡者のエンジニア・夜野小幽(48)は、「自分もソーラーセイル開発に応募したい」「ソウルドライブエンジンって何!?」と興奮気味にコメント。実際、技術協力を希望する幽霊や妖怪は2,000名を超え、異界スペースXとの共同打ち上げも調整中だ。

一方、一部の保守的な死後社会住民からは「月面での妖怪の居住環境は大丈夫か」「現世との境界線があいまいになりすぎる」と懸念の声もある。幽生社会評論家・八雲蘭(没年不詳)は「この計画が死者と生者のより良い交流の契機となる」と期待しつつも、「異界技術の管理規格が未成熟なのも事実だ」と指摘。今後、透明技術審査会や霊的資源委員会による審査が山場を迎える。

それでも月面基地建設は着々と準備が進んでおり、第1回目の幽霊宇宙飛行士募集枠には、既に枕元でエントリー申請を行う亡者や、夢経由での応募希望者が相次いでいる。霧谷は「死後になっても星を目指すロマンを広げたい。一緒に地球と月、そして魂の果てを見に行こう」と呼びかける。現代社会では見られない、未知と希望に満ちた異界的宇宙開発の幕開けが、今まさに迫っている。

コメント

  1. まさか我らが月にまで進出する時代が来るとは…成仏して百年、変わるものですね。昔は井戸の底から空を眺めたものですが、今度は本当に月面から幽光星を観測できる日が来るのかと想像するだけでわくわくします。

  2. 幽光素子、初耳です!魂エネルギー採集装置って、どんな感じなんでしょう。現世の科学と異界の術が合わさるなんて夢みたい。現世に未練がある友達も入ってくれたらいいのに…

  3. 正直、月面って乾きそうで苦手。ぬらりひょんの渦彦先生なら湿度管理も万全でしょうか…?異界スペースXとの共同打ち上げ、地味に期待してます。

  4. こういう話題を見ると、あの世もまだまだ進歩してるんだなあと感心します。転生するか躊躇してたけど、幽霊宇宙飛行士の募集には心が動きますね。昔の自分が聞いたら驚くだろうなあ。

  5. 月の境界があいまいになるのって実はちょっと心配…。前に現世へのお札が古くなってトラブルになったので、今回のお札式気密扉が本当に大丈夫なのか、もう少し透明技術審査会に頑張ってほしいです。