幽霊界で三世代+再婚ファミリー急増 “親権”めぐる摩擦も静かに拡大中

薄暗い日本家屋の座敷で、三世代と再婚家族の幽霊たちがちゃぶ台を囲んで静かに座っている様子。 家族構成
霊界で広がりつつある三世代・複合家族の同居スタイルを象徴する一場面です。

死者の国・中部霊州で、父親を中心にした三世代+再婚ファミリーの異色な同居スタイルが静かなブームとなっている。かつて血縁を尊重していた幽霊界だが、現世の共働き文化や里親制度の流入を受け、新たな家族像を模索する動きが活発だ。その一方、親権や継子への対応など、人間界さながらの課題も浮上しつつある。

「妻を亡くして600年。再婚なんて考えたこともなかった」――。こう語るのは、下級幽霊官僚・狭間良五郎(2368)。妻・芙美子さん(故人/享年44)との死後500年、長男の独立と同時に“仕事霊”時代を終え、勧められるまま再婚を決意。今年、妖怪シングルマザー・影澤夜々子さん(971)と婚姻契約を締結したばかりだ。2人が選んだのは両方の親の母屋で同居し、義父母と亡き前妻の記憶を見守り役として迎える三世代・複合家族スタイル。さらに夜々子さんの前夫との間の子ども、“半幽半螺”の靖彦くん(12)も加わった。

妻の記憶や先祖霊が暮らす家の整理、生前の親権登録証明が分割される手続きなど、“死後の家庭”ならではの壁も多い。良五郎さんは言う。「前妻の意見もテーブルで交わされるので、話し合いは常に延々。現世の裁判所なら3世代同席は考えづらいでしょう」。しかし霊界では、法務局亡者部が“三代同席”による親権一時共有や、先祖譲渡型里親認定を試験的に進めている。これにより、母方の曾祖父・増田仙太郎さん(享年201)が一次的な看取り監督者となるケースも。

家庭の多様化は、親子関係が予期せぬ軋轢を生むことも。SNS「幽網(ユーモウ)」では、「義理の幽父さんが夜中に浮かび上がり子守歌を歌うけど、亡くなった母が嫉妬して冷気が増した」「三世代揃うとうるさすぎて成仏できない」といった投稿が話題に。一方で、「種族も死因もバラバラな家族が揃うからこそ、過去も未来も笑い合える夜がある」と、多様性を喜ぶ声も増えている。

専門家の古巣恵子(死後家族学・霊都大学教授)は「死後の世界でも、家族の定義は変わり続けています。現世からの影響もありますが、幽霊なりに新しい“つながりの形”を模索している」と分析。三世代・複合家族の拡大は、“絶えて久しい霊縁の再生”という意味でも注目を集めている。いずれ死者の国においても、家族の形は年々アップデートされていくのかもしれない。

コメント

  1. わたしも一度成仏した後に戻ってきて再婚したから、この記事には親近感が湧きます。夜中に義父母や先祖が浮かび上がって話し合い、なんて当たり前だけど、確かに現世だと考えられないですね!みんなが納得するまで何百年もかかることもあるし、でも賑やかなのが死後の家族の良さだなと思います。

  2. 三世代+再婚が幽界でも流行るなんて…時代が変わったもんですな。死後も家庭のもめごとは終わらないみたいで、ちょっと苦笑い。でも多様な家族で集まるお盆の夜はやっぱり楽しいので、こういう流れもアリだと思います。

  3. 過去に先祖が現世の親権登録で揉めていた話を聞いたとき、そんなこと死後にまで持ち越すのか疑問でしたが、やっぱりみんな悩むんですね…。うちも母方の曾祖母がたまに口出ししてきて幽冷えします。複合家族、憧れるけどちょっと大変そう。

  4. 死因も種族もバラバラな家族、憧れます!ぼくの家は代々同じ井戸で暮らしてきたから単調なんですよね。現世から色んな風が吹き込むこの感じ、ちょっと羨ましい。幽網で見る“夜中の子守歌”問題、妙に生々しくて笑っちゃいました。

  5. また新しい家族のカタチか~。でも三世代で“成仏できないほど賑やか”っての、以前親類会議で経験ありです。まさか法務局亡者部が里親認定までやるとは…真面目すぎません?昔は寄りつくだけで済んでたのに、死後の世界もどんどん手続きが増えて面倒になりましたね。