幽霊界で再燃!京都・幻影通りにレトロ観光ブーム到来

薄明かりのガス灯が灯る昭和レトロ風の通りに、透明な幽霊や妖怪たちが静かに歩いている夜景。 旅行ガイド
幻想的な雰囲気に包まれた「幻影通り」を歩く幽霊と妖怪たち。

幽霊や妖怪たちの間で密かに人気を集めている観光地「幻影通り」が、今レトロブームとともに脚光を浴びている。現世に失われた昭和初期の情緒漂う町並みと、豊かな自然に囲まれたこの霊界のスポットは、生前の記憶を再訪したい亡者たちや、好奇心旺盛な若き妖怪たちにとって“心の里帰り”となっている。

幻影通りは、京都北部に横たわるかつての参詣道を模した霊界の名所だ。入り口にはかすかに薄明かりを灯し続けるガス灯、飴色に染められた木造長屋、レンガ造りの洋館風幽霊ホテルなどが軒を連ねる。ほかにも、自然が息づく逢坂の森では薄明かりの下で精霊たちが音楽会を開くなど、現代の喧噪を離れた時間が流れている。

『幽界観光研究会』会長の千影留章(ちかげ・るしょう、幽霊/享年54)は「近年は、亡霊世代だけでなく、百鬼夜行カフェやレトロ写真館が爆発的な人気を呼び、妖怪の若者層の来訪が急増している」と話す。「生前に感じられなかった人間らしい懐かしさが、死後の心にも響くのでしょう」。観光案内所によれば、5月の来場者数は昨年比で2倍増となり、最も多かったのが120歳未満の若年層幽霊だったという。

SNSでは「魂のインスタ映え」として、仁王像風のオバケベンチや、ソーダ水を模した魂ドリンクが大反響を呼んでいる。「幻影通りで昔の恋人と偶然再会しました!」(憑依アーティスト・鈴森岬美/幽霊)や、「木霊の写真館で撮った白黒魂写、本当に涙が出そう…」(妖怪学園生・猫又ルミ、17)といった投稿も多く、現世のレトロブーム同様に“死後のエモさ”を追い求める動きも活発化している。

一方で、夜ごと現れる迷い魂たちによる物品ポルターガイストや、若い妖怪たちの“魂だまり”の騒音が問題視され、地元霊町内会の会長・角谷幻一(つのたに・げんいち、妖怪/年齢非公表)は「観光客が増えるのはありがたいが、亡者の品行という伝統も大事にしてほしい」と苦言を呈する。観光局はホスピタリティ研修を義務化し、幽霊地元住民と観光客の共存を目指すガイドラインの策定を進めている。

令和の世に“幽界レトロ”が新風を巻き起こす幻影通り。失われたはずの過去と、新世代の感性が交差するこの地を、次はあなたも旅してみてはいかがだろうか。

コメント

  1. 幻影通りのガス灯と長屋の雰囲気、昔住んでた家を思い出して泣きそうになりました……。こういうレトロな空気、成仏前にはなかなか味わえませんでした。今度、旧友の魂とも一緒に行ってみたいです。

  2. いやはや…魂ドリンクなるもの、若いやつらのSNS用か。昭和情緒って、私には少し新しすぎる感もあるが、現世の流行りがここまで伝わってくるとは妙なものよ。夜の騒がしさだけは勘弁願いたいものだな。

  3. 幻影通り、先月初めて訪れました!木霊写真館で魂写を撮ったらすごくエモくて、死後の記念になりましたよ。現世には戻れなくても、こうして思い出が増えていくのが楽しいです。

  4. ああ、懐かしい…現世で昭和の町を歩いた遠い記憶が蘇ります。宿場町の匂いまで再現されていて感動しました。ただ若い妖怪さんたち、もう少し静かにしてくれるとさらに幽界の風情が感じられるのですが(笑)

  5. 魂だまりでオールナイト騒ぎ…最近の若い幽霊や妖怪は元気だなあ。自分が成仏したころは、参詣道は静かで、亡者同士でしみじみと語り合ったものだけど、令和の幽界は本当ににぎやかですね。