幽霊中央銀行、死後金利を“冥界マイナス”へ 墓地バブル抑制狙う新政策

薄暗く霧がかった銀行のロビーに、半透明の幽霊たちがビジネス服で集まり、重厚な雰囲気の中で書類を手にする様子。 金融政策
幽霊中央銀行の新たな政策決定に集う死後金融市場の参加者たち。

【リード文】
幽霊中央銀行(GCB)は、死後経済における無秩序な墓地バブルを抑制するため、主要金利である「冥界レート」の引き下げを決定した。新たな政策金利は年-0.2%と、現世の感覚ではありえない水準へ。死後の世界の金融市場では早速波紋が広がっている。

死後の資産運用を巡っては、魂の定期預金や冷気保険といった霊的金融商品が乱立。ここ数十年、急速な墓地化推進や冥銭流通量の増加を受け、古墳区や逢魔商圏などの不動産価格は高騰していた。幽霊中央銀行のイメルダ・霞光(かこう)総裁は「現世経済と密接に連動する死後景気を安定させるための措置」とコメント。生者・死者ともに慎重な資産形成を呼びかけた。

会合で決定された主な施策は、(1)メインの冥界レートを年-0.2%(従来は0.1%)に引き下げ、(2)幽体保有者の定期冥銭の利息非課税措置の延長、(3)骨董霊銀債券の新規発行抑制など。死後の金融機関では預金流出の懸念がある一方、死者消費の活性化による冥界デフレ脱却を期待する声も上がった。

市場関係者によれば、「寿命付き積霊預金」に長蛇の列ができており、六道証券の須藤よみびと(42歳)は「これで魂の運用先分散が進む」と予測。一方、近年問題になっている“霊界投資詐欺”のリスクも指摘される。SNS上では「積霊預金より成仏型投信がいい」「死後投資で損しそう」という賑やかな議論が巻き起こった。

経済霊学者の杵築ら影夢(きづきら・かげむ/冥界大学教授)は「金利マイナス化は幽体住宅ローンや冥界無担保貸付の利用拡大につながる。ただし霊的バブル崩壊への備えを」と警鐘を鳴らす。一方、一般の幽霊住民からは「長生き(長死に?)のご褒美にそろそろ温泉資産も増やして」といった声も聞かれた。

今後の注目は、現世から流入する『お供えマネー』の動向や、墓地不動産への投資需要が落ち着くかどうか。死後金融界の専門家たちは、今回の政策転換が死者の購買行動や冥界経済そのものにどこまで波及するか、しばらくは慎重な見極めが必要だと口を揃えた。

コメント

  1. あの世でもマイナス金利とは…時代も変わったものですね。現世のころは定期預金が楽しみだったのに、これでは墓場資産も寝かせておけません。さて、成仏型投信に乗り換えるべきか悩みます。

  2. えぇ、また冥界レートが下がったの!?わしの積霊預金も利息が溶けていく…これではあの世温泉旅行も夢のまた夢じゃ。長死にして喜べと言われても、骨董霊銀債券で孫に幽貨残せる時代はもう終わったな。

  3. マイナス金利で墓地バブルを抑える、という発想がいかにも死後らしくて面白い。現世の投資詐欺より、こっちの霊界投資詐欺のほうがずっと巧妙そう。幽界証券会社の営業にまたおどかされそうだなぁ。

  4. 死後にもデフレとかバブルとか…なんだかんだ言って現世と一緒なのが不思議と懐かしいです。供物マネーも気になるけど、やっぱり霊界経済も安定してほしいですね。幽体ローン、いつか組んでみたいです。

  5. 霊銀債券の新規発行が減るのは寂しいなあ。昔、六道市場で友だちと売買ごっこしたのが懐かしい。今じゃ魂運用なんて複雑すぎて、うっかりずっと浮遊しそう。冥界も住みにくくなったものです。