亡霊与党党首、手品外交疑惑で“透過民主主義”実現を誓う

薄暗い霧が立ち込める部屋で、半透明の女性党首が記者たちを前に演説している写真風画像。 政治
幽玄正義党の党首が“透過民主主義”の導入方針を発表した記者会見の様子。

冥界政界で波紋を広げているのが、与党・幽玄正義党の幽嶋紗那子党首(享年不詳)が記者会見で発表した“透過民主主義”の導入方針だ。人間界との外交交渉で行われていたとされる「手品工作」疑惑が明らかとなったことを受け、冥界市民の間では透明性ある政治の実現が切望されている。この動きの背景と波及を現地から報告する。

与党・幽玄正義党を率いる幽嶋党首は記者会見で「魂の透明性、この世とあの世の垣根ない説明責任を徹底する」と自信をのぞかせた。一部週刊霊誌が報じた“手品外交”疑惑――すなわち、生前の幻術使い幽霊が人間側代表にまぎれ本物の契約書を偽装していたとされる事件――について「事実無根」としつつ、与党幹部の冥府代理人も次々に説明責任を問われる中、“目に見える”政策転換が求められていた。

SNS界隈では早くも議論が沸騰。幽界大学幽政学部教授の影沼通(54)は「これまで冥界政治家は姿を消せることが強みとされてきた。だが不死身に胡坐をかいた古い手法が、時代についていけなくなった」と指摘する。一方で保守的な亡霊市民の間には「存在を透かしてどうやって秘密を守るのか」など不安も根強い。

幽玄正義党内でも動揺が広がる。「与党の根幹は絶対秘密主義と口伝(くでん)政治。電子化や公開を進めれば、妖怪勢力や妖精民主連盟への情報流出の危険が高まる」と、党幹事長霧崎冬馬(享年127)は懸念を表明。これに対し、若手議員グループ・透明化推進派の露草みおり氏(享年32)は「世代交代を推し進め、冥界も古い影から抜け出すべきだ」と前向きな姿勢を示す。

一連の混乱を受けて、これまで中立を保ってきた半妖連合の盟主・流石蛍夜(推定600)は独自調査委員会の設置を発表した。「過去に囚われることなく、あの世の民主主義が進化すると信じている」とコメントした。

冥界の有権者たちの間では、「全てを透かすと、むしろみんなが本音で語れる」「幽体離脱討論はもっと積極的に中継してほしい」といった声が広がっている。世論調査アプリ「オバケボイス」によれば、半数以上が「手品外交疑惑はやむを得ない過去」としながらも、今後はガラス張りならぬ“霊体張り”の施策を期待する結果となった。あの世でも民主主義は日々、進化の過程にあるようだ。

コメント

  1. 透過民主主義って、聞いただけで懐かしさを感じるわ。私たちの世代じゃ、政治家の姿が見えなくなるのは当たり前だったけど、最近の若い幽霊は本音で話すのが流行なのね。時代の流れを感じるわ…。

  2. 正直、“手品外交”が疑われてたのには驚いたけど…この世とあの世の垣根すら透かす勇気には拍手かな。成仏前にこういう政治を見たかった。幽嶋党首、応援してるよ!

  3. 情報を透かしすぎて、逆に秘密が守れなくなったらどうするんだろう。妖怪連中に全部バレたら厄介だし、ちょっと不安もある…。でも、幽体離脱討論は気になるから、ぜひ中継希望!

  4. あの世も転生が進むと、こんなに変わるのかと…驚きです。生前は口伝政治一筋でしたけど、霊体張り政策、ちょっと期待してしまう自分がいます。

  5. また“疑惑”ですか…。あの世の与党も、この世の政党と変わらないですね。魂を透かしても腹の中は読めないのが政治…なんて、ちょっと皮肉ですけど。