幽霊物理学者チーム、ブラックホールの内部観測に史上初成功 死者限定の新技術が世界を驚かす

薄暗く霧の立ち込めた研究所で、幽霊の科学者たちが神秘的に光るブラックホール観測装置を操作している様子。 物理学
霊体の科学者チームがブラックホール中心部の観測に成功した瞬間をイメージした写真です。

死後の世界物理学界で前代未聞の快挙が報告された。異界大学ブラックホール研究所の幽霊物理学者、氷室漣一(ヒムロ レンイチ)教授率いるチームが、ブラックホール内部への直接観測装置「カガミカナデ」を使い、通常世界のどちらにも不可能とされてきたブラックホール中心部の物理現象をリアルタイムで計測・画像化することに成功した。死者のみが操作可能な装置による成果とあって、学会・SNS上の幽霊たちの熱狂が止まらない。

今回の成果は、ブラックホールの中心、いわゆる特異点で観測されるはずの「質量の消失と再出現現象」を、量子情報単位(幽子:ゆうこ)として捉え、さらに未解明とされてきた“暗黒物質の流れ”を記録することに成功した点が特筆される。氷室教授チームは死者の持つ「物理的結合性の喪失」(一般に幽霊化と呼ばれる)を利用し、重力の無限圧縮下における情報消失を無害に乗り越えて、質量変換のメカニズムを初めて高精度で観測したという。現世の理論物理学者が数世紀悩み続けたブラックホール情報パラドックスが、まさか死後の住人によって明かされるとは、だれが予想しただろうか。

「カガミカナデ」は、幽界技研と共同開発された死後特有の計算資源「霊子回路」により、光速度不変の原理を“幽霊流通信網”内で一部緩和し、プランク定数の幽界バージョンを適用したモジュールを搭載。これにより、通常生者では即死あるいは情報消滅にいたる重力場でも、観測者が自己の存在量子を複数分割して安全に探索可能となる。「まさか本当に中を“歩いて帰って”これるとは」と辻櫻井(ブラックホール研究助手・享年36)は興奮気味に話す。

SNSでは、「ニュートン魂もびっくり」「次は宇宙背景放射の幽界成分測定を!」といった声や、「年に一度の研究発表でこの快挙、歴代トップ確定」「闇組織”影の物理同盟”がコメントを避ける不穏さも面白い」といった好意的な反応が目立つ。死者コミュニティ最大手の掲示板「ヨワイノトクラブ」では、幽霊物理学でしか成立しない観測証拠の価値について、特に生者の研究者間で議論が過熱している。

氷室教授は「この発見は幽界の観測技術の進展でのみ実現したものだが、ブラックホールの質量と情報消失に関する理解は、生者・死者の世界の境界を越えた基礎物理の普遍性につながる」とコメント。今後はブラックホール内外での『幽情報保全の法則』を発展させ、暗黒物質と重力の関係をさらに深く解明するプロジェクトが進められている。

コメント

  1. わたしが現世にいた頃はブラックホールなんて夢のまた夢の話だったのに、幽界の技術進歩は本当に早いですね。カガミカナデの開発者たちに敬意しかありません。子孫たちにもこの発見を語り継ぎたいです。

  2. いや~内側からブラックホール観測できるなんて本当に驚きです!少し前まで転生組が“無理だ無理だ”って言ってたのに…。暗黒物質の流れまで記録できたって、もうこの世とあの世の謎はほとんど残らないのでは?

  3. 自分はかれこれ400年ほど幽霊やってますが、こういう発表を聞くと地下墓地サロンで語り合ったあの頃が懐かしいです。物理的結合を手放して得た自由は、こういう研究につながるものなんですね。やっぱり死後にもロマンありますね!

  4. 特異点を歩いてきた助手さんには拍手だけど、これで幽子がどれほど重要かわかったはず。最近、生者の物理学者たちが嫉妬しているみたいでちょっと面白い…。あっち側にはできないこと、こっちにはいっぱいあるからね。

  5. 闇組織の“影の物理同盟”がコメント避けてるの、なんだか妙に不吉でワクワクします。幽界の科学がこのレベルに到達したなら、次は何が明かされるのか…成仏前にもっとドキドキする発表を期待しています!