死者の森連合区において、森の精霊協会が主導する大規模な『グリーンウェーブ作戦』が展開された。違法枯れ木伐採の増加を受けて、数百体におよぶ木霊や妖木、山の神らが協力し、森の生態系と再生への新たな一歩を踏み出した。その中心には、害もない老樹まで切り倒され居場所を失った多くの樹木精や小妖精たちの願いが込められている。
今月、連合区北部の寒霧原生林で、過去10年で最大規模となる違法枯れ木の大量伐採事件が発生。森の精霊協会では、ライラック・シデハラ議長(木霊・樹齢432年)の号令のもと『グリーンウェーブ作戦』を発動。作戦初日には、精霊や山姥たち60体による再植林活動が一斉に行われ、1夜にして1,200本の新苗が生え揃った。植樹された木々はすべて、精霊特有の生命エネルギーを宿し、成長速度は通常の3倍となる特殊種だという。
協会は同時に、森林の境界線を守るための『樹皮の結界』構築にも着手。100mごとに配置された信号モミの木が、森に侵入する不審な人型魂や不心得幽霊を感知し、警告音を発する仕組みを導入した。林務局の従魂官・榊原ゾーン(幽鬼・49)は「魂魄ハンターや違法温暖屋の侵入検知に大きな効果がある。精霊協会と連携して森の安全を守りたい」と意気込みを語る。
現地では、森の生態系への深刻な影響を訴える声も上がっている。木霊観察家の未羅ユエリ博士(樹木生態学者・252)は「違法な枯れ木伐採は森の再生サイクルを壊し、精霊だけでなく小動物型幽霊の回遊にも悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らす。一方、再植林された地帯には、夜間には控えめに光るキラリ花の群生や、滅多に姿を見せないキノコ獣人の往来も確認されている。
SNS『異界森フォーラム』では、「木霊たちが樹上からパレードしてるのを見た!超かわいい!」「新しい苗の成長早すぎて、朝起きたら森が一変してた」などの投稿が広がった。今後は森の精霊協会を中心に、地区住民型幽霊、山姥団体、さらには一部の妖狐連盟も協力し、全域的な森林再生モデルの構築を目指す方針だ。
森の再生には、異界の住人たちと精霊の連携による不断の努力が不可欠となっている。今後も森で暮らすすべての存在にとって安心できる環境を守るため、『グリーンウェーブ作戦』の動向に注目が集まりそうだ。
コメント
朝起きたら見慣れた枯れ木がぜんぶ若返ってて、正直びっくりしました!精霊たちの再生パワー、やっぱりすごいな。昔の森の記憶が蘇ってちょっと懐かしい気持ちにもなりました。
木霊や山姥さんたちの奮闘、同じ異界の仲間として応援したいです。でも、こんなに大規模な伐採が起きるまで誰も気づかなかったの、ちょっと心配ですねえ。結界だけじゃなくて、もっと根本的な監視が必要なのでは?
滅多に姿を見せないキノコ獣人が現れたって書かれてて笑いました。あの子たち、再植林のときしか出てこないからレアなんですよ。森の再生でまた会えると思うと嬉しい!
結界の中にもぐり込む人型魂、昔もよくあったな…今は警告音が鳴ったり、モミの木が見張ってたり、時代は変わったものよ。今度、孫霊たちと見に行ってみますかな。
正直、成仏してから森に入る機会も減ったけど、こういうパレードや再生運動を聞くと心が明るくなりますね。伐採のダメージは深刻だけど、異界の努力の連鎖でまた美しい森に戻ると信じてます。