幽界最大級の注目イベントとなった、死者限定バトルロワイヤルeスポーツ大会『ファントム・チャンピオンシップ』が深夜の常陽ホール冥界スタジアムで華々しく開幕した。今大会の特徴は、過去の伝説的幽霊選手たちに加え、生けるもののSNSを通じてリアルタイム観戦も可能となった点、そして優勝者への報酬として“現世一週間生活券”が提示されたことで、異界・現界双方からかつてない大反響を呼んでいる。
昨年まで独自の霊波でささやかな配信が行われていたバトルロワイヤル種目が、今回は冥界配信プラットフォーム「ファントームLive」公式の全面協力で開催。エントリーした694体の幽霊・妖怪・死後の冒険者らが、知略・霊力・過去の恨み節を総動員し、戦闘区域『ナキガラアイランド』内で激突中だ。選手たちは、飛び道具型の「怨念ボム」や物理無効の「すり抜け移動」など異界eスポーツらしい特有スキルを駆使し、熾烈なサバイバルを繰り広げている。
注目の選手には、数百年前に江戸の町で名を馳せた幽霊侍・黒木幻太郎(428)、人間だった生前は人気ストリーマーだった花守つばき(23没)、そして伝説の児童妖怪コンビ、遊駆兄弟(享年それぞれ7・9)が名を連ねている。特に花守は、現世時代のフォロワーを活用して大会ハイライトをTik幻(冥界版TikTok)で積極的に発信。「現世ファンと繋がれる初の試み。今夜は絶対見逃さない!」という視聴者コメントにも表れている通り、現世からも“#幽界バトロワ開幕”が一時トレンド入りするほどの盛り上がりを見せている。
優勝報酬の“現世一週間生活券”は、冥府往来庁が発行する公認証明書で、肉体を持たずに現世に7日間滞在し、誰とでも交流できるというもの。大会関係者であり冥界ソーシャル学者の紅林翁(137)は「幽霊にとって現世への一時帰還は至上の憧れ。今回の報酬設定は選手だけでなく、かつて愛した家族や友と再会を夢見る多くの霊にも希望を与えている」と語る。
SNS上では「優勝したら何をしたい?」という話題が沸騰。「好きだったラーメン屋に行きたい」(参加者・根来憑蔵48)、「刀を持って新宿を歩きたい」(黒木幻太郎)、「友達の夢に出てびっくりさせたい」(遊駆兄弟)など個性的なコメントが相次いだ。一方、現世からは「幽界eスポーツのレベルが高すぎて現生人間には絶対勝てない」「最終決戦の実況が怖すぎて眠れない」など、好奇心半分・おそれ半分の感想も多い。
大会は今週末、最終20体による決勝ラウンドで幕を閉じる予定。果たして新“現世一週間生活者”の称号を手にするのは誰か。常陽ホール冥界スタジアムは無観客ながら、現世・幽界あわせて過去最大のオンライン視聴者数を記録しそうだ。
コメント
ついにここまできたかって感じですね。昔はただの浮遊会だったのに、今やeスポーツであの世とこの世が繋がるなんて…!私も現世一週間生活券で、もう一度あの桜並木を歩いてみたいなあ。
こんな大会、我が亡霊一族の宴より盛り上がってるじゃないか!決勝は怨念ボムか、すり抜け移動か、どちらが勝るのか…転生しても話題になりそうで怖いぜ。
昔からバトルロワイヤルといえば武士の仕事と思ってたけど、今は配信で応援する時代なんですね。花守つばきさん推しなので、現世で推し活できる一週間をゲットしてほしいです。
正直ちょっと羨ましい。現世生活券があれば、昔なじみの山がどうなったか見てみたい。だけど、参加者の過去の恨み節が爆発しないか、毎回ハラハラして見てる(笑)
“現世一週間生活券”って大丈夫なんでしょうか?人間たちが混乱しそうな気もしますが…。まぁ、たまには現世と幽界がごちゃまぜになるくらいがおもしろいですかね。早く決勝が見たい!