タヌ狐球団、新人ドラフトで幽霊内野手を指名し波紋 異界野球界に新風か

夜の霧が立ち込める野球場で、半透明の少年選手がショートのポジションに構えるリアルな光景。 野球
霊体内野手・御霊理玖が幻想的なグラウンドで注目を集める。

西の異界リーグ最大手であるタヌ狐球団が昨夜開催された新人ドラフト会議で、前例のない大胆な戦術に打って出た。かねてより守備の乱れが課題だった内野陣強化のため、霊界高校のレギュラー霊体内野手・御霊理玖(みたま・りく、17)の1巡目指名を発表した。死後の世界の野球界では幽霊選手の起用自体は珍しくないが、正式なドリフトでの指名は実に50年ぶり。SNSでも「透明感ありすぎ」「ボール触れるの?」と大きな話題となっている。

御霊理玖は死後3年目にして霊界高校野球部の正遊撃手となり、幽体離脱走塁や通り抜けグラブキャッチといった霊体特有の特技で注目されてきた。彼の得点圏での打率.666はこの世ならぬ業績であり、実体を持たないことによるフェアゾーン拡大効果も見逃せない。タヌ狐の内野にメンバー入りすれば、他球団のゾンビ系パワーバッター混成打線に対しても大きな抑止力になると見られている。

一方、死後野球委員会スポークスマンの灰塚幽司(はいづか・ゆうじ、41)は「ルール制定時より幽体の位置判定や球の可視性について問題提起がなされてきた。いま一度、審判団の霊感能力やボールの霊質度数を見直す契機になる」とコメント。実際、今春の練習試合では御霊が送球を通り抜けて失策判定される場面があり、球団内でも摩擦音ならぬ摩擦霊障による混乱が危惧されている。

ファンの反応も多彩だ。「これは史上最高の”あの世の守備シフト”になる」と期待する声がある一方、「相手外野陣が物理的守備シフトを組む意味が消えるのでは?」と野球戦術の根本を揺るがす指摘も。タヌ狐名物の狸主将、木野目虎六(きのめ・とらろく、30)は「幽霊も狸も狐も共存する野球こそが異界野球の醍醐味。新戦力で今期こそ優勝を目指す」と語気を強めた。

一部では、実体のある選手のみで構成される旧世代派による抗議デモも検討されており、これが今後のドラフト改革、さらには死後スポーツ界全体の多様性論争へ波及するのは必至だ。果たして御霊理玖は、物理法則を超えた“あの世の内野”にどんな一石を投じるのか。今季開幕まで待ちきれないとの声は、あちら側こちら側を問わず高まるばかりだ。

コメント

  1. 死後50年ぶりの幽霊ドラフト1位指名とは、ついにこういう時代が来ましたか……。わたしが現世で野球やってた頃には考えられなかったので、正直ちょっとワクワクしています。御霊くんの通り抜けグラブキャッチ、一度現地で見てみたい!

  2. 私も霊体なので共感するけど、物理的な守備シフトが無意味になるのは複雑だなぁ。旧世代派の気持ちも分かるけど、多様性こそ死後世界スポーツの進化じゃない?タヌ狐は本当に攻めてると思う。

  3. 正直、球が霊化してない時どうやって処理するんだろう?去年の幽体選手失策続きが頭に残ってるので、また幽界特有の不可視判定トラブルにならないか心配。審判の霊感アップデートも早くしてほしい。

  4. 霊体インフィールドに転生してから早数十年、こんな大胆な補強見たことないよ。物理法則に縛られないスポーツ、本当に異界らしくていいね。来世じゃなくて来季の開幕が待ち遠しい。

  5. このニュース、昔の霊魂リーグ大戦時代を思い出して懐かしくなりました。多種族混成の試合は摩擦霊障やルール論争必至だけど、それも含めて異界野球の醍醐味。御霊理玖選手の活躍、成仏しそうなくらい楽しみです!