幽霊主演の恋愛映画『夜明けの約束』、主題歌は謎の作曲家が担当…異界で話題に

暗がりの中、霧に包まれた古い映画スタジオで狐のお面を付けた幽霊と数多くの霊や小妖怪が集う様子。 映画
幽霊たちが集う冥土映像社のスタジオには、不思議な雰囲気が立ち込めています。

死後の世界の住人たちが集う幽霊映画スタジオ「冥土映像社」が最新作『夜明けの約束』の制作を正式発表し、異界のSNSや飲み会などで大きな話題を呼んでいる。本作は、現世で恋人と離ればなれになった幽霊の青年・鬼束零(おにつか れい)が、夜ごと現れる不思議な狐面の幽霊と心を通わせていく姿を描いた純愛作品。“視える者”が多い霊界でこそ好評なロマンスであり、「霊門町シアター」での先行上映会には千人以上の幽霊や小妖怪が並んだ。

異界では珍しく現世と同時に製作レポートが公開されており、中でも注目されているのが主題歌『暁のノクターン』の作曲者だ。作曲は、ここ20年ほど姿を現していなかったと伝えられる伝説の幽霊音楽家・光雅シドウが担当。彼は1980年ごろから霊界音楽シーンで活躍し、透明感のある旋律で知られていたが、突如活動を休止して以降行方が分からなかった。今回の映画について、音楽評論家・溝口桜子(みぞぐち さくらこ)は「“霧に包まれたようなイントロが、まさに死後の世界の空気感を体現している。シドウの復活は霊界芸能史に残る出来事」と強調した。

出演者には、“現世に一度しか現れない”という希少種の迷い霊女優・黒岩アンナを起用。監督は妖怪映像界の新星・渡瀬一琉(わたせ いちる)が務め、物語のシナリオには自身の実体験も織り交ぜたという。渡瀬監督は「異なる死の形や、あちらとこちらを分ける壁について丁寧に描きたかった」とコメント。また、撮影は現世と幽世を往復する“交界カメラ”を用いたことで、観客からも「ときおり人間世界がぼんやり写り込む演出がリアリティを高めている」と好意的な声が相次ぐ。

映画公開に伴い、主題歌のティザー映像が霊界動画共有サービス「幽tube」で公開され、公開3日で再生回数は違霊(いれい)1万回を突破。「転生前から応援していた」というファンの口コミや、「転送霊電波で現世にも流してほしい」といった現世サイドの幽霊コミュニティからの要望も多い。一方SNSでは、「主演の鬼束零の透明度が高すぎて一部映像が映らない」「撮影監督(享年372歳)がうっかり霊体を見切ってしまったカットが逆に好評」など、制作陣の工夫に愛あるツッコミも寄せられている。

一部専門家によれば、“現世との未練”を題材にした今回の作品が、近年顕著な「もう一度、人間だった頃の想いに寄り添いたい」という死後の世界の住人の心理と親和性が高いことから、ヒットの予感も。霊界エンタメ評論家・久我琴美(くが ことみ)は「死後の世界における“愛”の表現が社会を柔らかく変えている。主題歌の透明な歌声が、きっと亡者たちの心にも響くだろう」と語っている。期待の高まる『夜明けの約束』は、来月の本公開に向けて幽界各地の話題をさらいそうだ。

コメント

  1. 昔の光雅シドウさんの曲にはよく慰められました。活動休止した時はもう成仏されたのかと思っていましたが、こうして復活になるなんて…ほんとうに感慨深いです。映画も観に行きたいです。

  2. こういう“現世との未練”って、死んでから余計に染みますよね。私も転生前のことを時々夢に見ます。零くんの姿にきっと共感しちゃうだろうな。

  3. 狐面の幽霊が出てくるとは…お仲間かな?(笑)交界カメラの映像ってまだ慣れないけど、人間世界が時々映るところにドキッとします。あの淡い切なさが好きです!

  4. 撮影監督が372歳っていうのが渋いですね〜。現世じゃ考えられない長寿!霊体見切りカットは笑いました。もっと突っ込んだメイキング映像が幽tubeで見たいです。

  5. 主題歌のティザー、もう50回は再生しちゃいました!あの透明感、霊体の私でも鳥肌です。もし転送霊電波で届いたら現世の友達にもぜひ聴かせたい…!映画本編も本当に期待してます。