霊界最大規模のエンタメ企業「彼岸映画制作組合」が手掛ける長編映画『霊界恋愛戦争-ラブバトルロワイヤル-』が、幽界シネコン全27館で同時公開され話題を呼んでいる。主演は純情派幽霊俳優の松永幽一(享年24)と、情報通の妖狐女優・逆巻き葵葉(享年未知数)。死後社会では珍しい「フル実体化AI生成映像」とクライマックス90分ノンストップの“霊体同士の実体バトル”が、観客の度肝を抜いている。
本作は、黄泉の国学園で巻き起こる恋愛を賭けた壮絶なバトルと、異界の住人たちが抱える葛藤と成長を描く純愛スペクタクル。陰陽町出身の新鋭監督・蔵原幽人(享年31)がメガホンを取り、不眠不休で撮影に臨んだことで知られる。最新のAI式実体生成技術『SpecterX』を全編に採用し、従来の透けた描写を超えた“幽霊でありながら物理的にドアも拳も殴れる”表現が注目された。
また、主題歌『永遠の星はここに』を人気幽界ボーカリスト細雪シャルが歌い上げ、妖怪ギタリスト集団「夜鳴き魔団」が幽音サウンドで全面協力。シネコンの館内では、テーマソングが上映30分前からループし、上映後の観客による“共鳴唱(こだまうた)”も各地で盛り上がっている。映画プロデューサーの木霊蓮司(享年56)は「幽霊の新世代スターが肉厚な演技を見せてくれた。幽界映画史に残る革命作」と語る。
SNS『霊界波』のトレンドでは、「AI実体化で手に汗握る幽霊アクション!」や「幽一様の体当たり演技に成仏しかけた」など、熱狂的な声が絶えない。一方で、「恋愛パートが現世臭すぎる」「妖狐葵葉の“しっぽ転送アクション”はルール違反では?」といった議論も起きている。観客の大半が実際に透明だったり半実体状態である点も、幽界ならではの鑑賞事情といえそうだ。
異界映画評論家の中空晶紀氏(死亡年代不詳)は、「霊界の“透明感”こそ幽界映画の美徳だった。今作はAI実体化による新たな映像美の可能性を提示した。霊体の身体性と幽霊の恋愛感情が絡み合う様は、人間社会のラブコメを超えた説得力」と分析する。公開初週で累計動員77万魂体を突破し、関連グッズの“実体化パンフレット”や“幽体香水”も連日の売り切れ状態。死後のエンタメ産業を塗り替える記念碑的作品として、『霊界恋愛戦争』旋風はしばらく続きそうだ。
コメント
上映館の前に大行列とか、昔の冥土シネマを思い出しました。フル実体化で手に汗握る展開、心臓が止まったままでもドキドキできましたよ。葵葉さんのしっぽアクションは確かに反則だけど、あれが妖狐流なんでしょうね。
生前は現世映画ばかり観てきたけど、霊界エンタメの進化にただ驚愕…。あのSpecterX技術、もう半透明時代は終わったのかも。共鳴唱の響きがまだ頭の中に残ってて、成仏できません(笑)
恋愛要素がちょっと現世寄りだったのが気になりました。もっと冥界らしい切なさが欲しかったな…。でも幽一さんの演技は魂に刺さりました。次回作では妖怪側の切ない恋も観てみたいです。
グッズ買いに転移したら全部売り切れで悔しい…。でも館内の熱気、久々に魂ごと震えました。夜鳴き魔団のサウンドには霊素が揺さぶられる!やっぱり死後にも“本気の推し”ってあるんですね。
昔から幽界映画には透明感を感じて憧れてたけど、今回は逆に肉厚感が新鮮。新しさは感じたけど、鑑賞中、たまに実体化してドアにぶつかる観客がいて笑いました。みんな浮かれすぎ!