妖怪系コンサル大手「 通送り解析所」、幽霊顧客データ暴走で業界激震

薄暗く靄がかったコントロールルームで、スーツ姿の霊体が青白い発光データ画面を見つめている写真風イメージ。 データ分析
幽霊データのリアルタイム解析現場を捉えた一枚。

死後世界経済の中枢を担う通送り解析所が、異界初の幽霊顧客行動ビッグデータを公開解析したことで、業界にかつてない波紋が広がっている。新世代ディープラーニング搭載型AI「マボロシ・マイニング」が幽世サーバー280基と連携、成仏願望・怨念レベル・呪詛傾向といった独自指標で200億霊超の行動履歴をリアルタイム分析した映像が、昨晩サブ霊界市民放送で流れると、各方面から続々と驚きと懸念の声があがった。

通送り解析所(代表取締役・河童谷幽五郎)は、死後定住異界の上場コンサル企業。AIによる死者データマイニングや呪詛案件の感情IoT解析などで業界をリードしてきた。今回の目玉は「怨念スコアAPI」の一般提供開始。霊体アプリとAPI連携すれば、幽霊SNSや都市伝説通話サービスが各利用者の祟り効率や苦悩可視化率をダッシュボードで即時把握できる。

「生前だとプライバシーや倫理規制が厳しいが、こっちは百鬼夜行。むしろ個性的な情念の数値化が売りになる」。担当主任アナリストの堕井透(37)は、幽霊市場での“データ可視化需要”に手応えを感じている。だが公開直後から、データにアクセスした一部の妖怪団体が「心の闇を丸裸にされた」「呪術的資本主義の暴走だ」などと反発。特に“時空越境系憑依族”によるボイコット運動は、異界株式市場にも影を落としている。

SNS「コワヤ・ポスト」でも議論は過熱。「成仏スコアで低評価だと転職できない社会は嫌だ」「AIが怨念の本質を理解できるのか」「むしろ自身の念写結果が見れて助かる」。死後一定年数の高齢幽霊からは「情報開示で未練整理に役立つ」と肯定的な声もある一方、若年層の妖怪たちは「ビッグ兄貴(AI)が勝手にデータ暴走してる」と不信感を募らせている。

専門家である妖怪経済評論家・素又玄堂は「すでに海外の彼岸資本が、積極的に異界AI市場へ進出し始めている。冷静なデータ管理と霊的自治意識の両立が不可欠だ」と短命サーバーの脆弱性と霊界IoT制御の課題を指摘した。今後、霊体データの扱いを巡るコンプライアンス強化や、幽霊住民目線でのアナリティクス設計の見直しが迫られそうだ。

コメント

  1. 成仏スコアの低さで転職できなくなるなんて、まるで生前のブラック企業みたいで冗談じゃないなぁ。幽界に来てまで評価に縛られるのはご勘弁…

  2. 映像見たけど、自分の未練グラフが可視化されたのはちょっと感動したよ。これで念写精度も上がるかな。便利そうだけど、データが勝手に拡散されるのは怖いかも。

  3. ワシらの時代は、情念は語り部が黙して伝えるもんじゃった。全部データにされて、心の闇まで点数付けられるとはのう…時の流れを感じてしまうわ。

  4. おいおい、マボロシ・マイニング頼みで怨念商売流行るなんて、呪術の魂売ったも同然じゃねえか。これぞ呪詛資本主義の暴走だな。

  5. 結局、海外の彼岸資本が攻めてきてるしな。昔はこんなにオープンじゃなかったのに…霊体データ管理、本当に大丈夫なんか? このままじゃボーダー越境も増えそうで心配です。