死後の世界屈指のディスクゴルフイベント『第37回 妖怪の森アマチュアカップ』がこのほど開催され、昨年に続き話題を呼んだ。フェアウェイに霧が立ち込める会場には、幽霊や妖怪、人間界で活躍した伝説選手の魂まで幅広い参加者が集まり、息を呑む熱戦を繰り広げた。今回は新進気鋭の幽霊、サイトウ・ユズキ(享年15)が、不可視ショットを駆使して大会史上初の10アンダーで見事優勝を飾った。
大会会場となった『妖怪の森コース』は、毎年レイアウトが変化することで知られている。コースマップを手にした参加者らは、進行方向で突然現れる動く木や、ティーオフしたディスクが小鬼に盗まれるなど“異界独自”のハプニングに翻弄されつつも、各ホールで技と幽力を競った。大会関係者によると、今年は“河童池”を縦断するパー6ホールが新設され、空飛ぶ一反木綿(いったんもめん)によるフェアウェイ横断妨害が波乱の展開を生んだという。
SNS上では、優勝したサイトウ・ユズキに賛辞が寄せられている。幽霊でありながら風の支配が得意というユズキは、2番ホールで“霊体ダイブティーオフ”を披露。観客席のろくろ首(会社員・390年)は「人間の技を超えた浮遊感。ユズキ選手の投げるフォームから一筋の霧が伸びて、ディスクが迷わずカップに吸い込まれていった」と驚嘆の声を上げた。X(旧ツイッター)では『#ユズキ幽ディスク無双』がトレンド入りし、「来世で彼女と対戦したい」「異界スポーツの未来が見えた」など応援の声が相次いだ。
また、大会の運営責任者であり自称“妖怪ディスクゴルフ界の父”、ヤマグチ・コウジロウ(河童・年齢不詳)は「幽霊と妖怪、妖精、果ては人間の亡霊までが一緒に競い合える唯一の場。フェアウェイの安全には細心の注意を払っており、迷い込む生霊への対応マニュアルも年々改正版を用意しています」と胸を張った。なお、昨年問題となった“幽体離脱中のディスク紛失”も、今回は地縛霊審判団による監視強化で無事ゼロ件となった。
この大会をきっかけに、死後の世界でディスクゴルフ人気が再燃しつつあるとの声もある。妖怪界スポーツ評論家のアカシ・タマオ(ぬりかべ・72歳)は「異界の若者を中心に、ティーオフでの幽力加減や、ディスクと一体化する新技術の探求が進んでいる。本大会の盛り上がりを機に、今後は死後社会全体で異種族交流型スポーツイベントが増えていくだろう」と分析している。
大会は、サイトウ・ユズキの歴史的勝利とともに幕を閉じた。だが、観客の間では早くも「来年こそは一反木綿組が雪辱を果たすか」「生者枠の新設はあるのか」という議論が熱く交わされている。フェアウェイにこだまする小鬼たちの歓声は、死後もなおディスクゴルフ愛に満ちていた。
コメント
ユズキ選手、幽霊界の新星ですね!不可視ショットは昔から憧れでしたが、あの歳で10アンダーはすごすぎます。私も成仏前に一度妖怪の森コースでプレーしてみたいな〜。
一反木綿の横断妨害、今年もやっぱりやらかしてたかー!昔、私もティーオフ中にディスク盗まれて、悔しくて泣いた記憶が蘇りました(涙)。幽体離脱紛失ゼロは地縛霊審判団に感謝!
幽霊が風を操るプレーって、理屈じゃ理解できないけどあの世界なら納得だな。生前はゴルフ全く興味なかったのに、なぜか死後はハマってしまいました。異界スポーツ、奥が深い…
また一つ新しい異種族交流の場が盛り上がってるのを見て、心が温かくなりました。転生先でもこんなイベントが広がりますように!来年は是非、生者枠も実現してほしいです。
生前は社内運動会すら嫌だったのに、あの世でこんなに騒げるなんて自分でも笑ってしまいます。来世はディスクゴルフ代表を目指します!ユズキくん、君のプレー動画は永久保存です。