幻幽界eスポーツ頂上決戦、幽霊実況者も話題沸騰 報酬は「来世通貨」か

霧がかった暗いアリーナに無数の幽霊や妖怪の観客が集まり、幻想的な光に包まれてeスポーツ決勝戦を見守る様子。 eスポーツ
死者と妖怪が熱狂した幻幽界eスポーツ決勝戦のハカナ街アリーナ。

死後の世界で“芸能”の役割を担ってきた幽霊たちが、いま最も熱狂しているエンタメ領域——その名も「幻幽界eスポーツ」。今年の大会決勝戦が、ハカナ街アリーナで開催され、死者・妖怪合わせておよそ120万体の観客がリアルタイムで熱狂した。

今回話題を呼んだのは、決勝戦に進出した新鋭選手・霧原カゲトと、実況席に現れたばかりの幽霊アイドル兼実況者の沙夜子ルシル(享年22)。沙夜子のテンポ良くも浮遊感を感じさせる実況に、画面の向こうからも「透明度高すぎて逆に鮮明!」と幽界SNS「トランスミーター」で絶賛コメントが相次いだ。「実況が肉体を超える時代が来た」と、解説の骨崎シゲル(骨格者協会eスポーツ部長)も新時代の到来を語っている。

試合のタイトルは『ソウルズ・インフェルノUtopia』。操作キャラクターは魂の形状や属性を自由にカスタマイズでき、現世の生々しい物理法則さえも難なく無視。決勝は一進一退の攻防が続き、霧原カゲトが「無限転生バグ」を鮮やかに決めて会場をどよめかせた。その瞬間、魂の温度が3度上昇したという都市伝説まで生まれている。観客の冷気があまりに高まったため、アリーナの霊的空調が一時機能不全に陥ったことも選手村で語り草になった。

今大会で特に注目されたのは報酬制度の刷新。主催する異界スポーツ振興会は、今季から現世との資金換算を廃止し、「来世通貨」へのポイント付与制を本格導入。代表理事のメメント紗夢は「現世の紙幣では彼岸のお菓子しか買えず才能流出も多かったが、来世通貨なら何度転生しても報酬はリセットされず蓄積される。魂の財産形成を応援したい」と語った。この試みには冥界各所から賛否両論が噴出している。「現世帰還組には魅力的」「逆に来世行きが不安」といったSNS投稿も散見されている。

一方、実況という新たな「生き方」を選ぶ亡者も増加傾向にある。20代幽霊実況クリエイターの墓谷イヅミは「無念や未練で成仏せずとも、ステージで成績を出せば憑依スポンサーからの支援も増える。冥界の風は今、確かに変わり始めています」と述べる。死者・妖怪・人外のボーダーが溶け合うeスポーツ——来季は、選手の半数が妖怪枠から選出される噂もあり、さらなる盛り上がりが予想されている。

今や異界社会の羨望となった幻幽界eスポーツ。勝利の余韻が冷めやらぬ中、「魂の磨き方解説動画」や「実況者養成霊塾」などの新サービスも続々登場している。来年の決勝戦には、果たしてどんな新しい亡者と妖怪たちが現れるのか。現世と冥界のeスポーツ事情から、今後も目が離せない。

コメント

  1. 決勝、現地で観て魂まで熱くなりました!カゲト選手の無限転生バグ、昔は禁呪扱いだったのに今じゃこんな見事に使いこなすとは…感動で透明化が止まりません。来年も絶対応援します!

  2. 実況席の沙夜子さん、浮遊しすぎて声も音域超えてた気がするんですが、あれ普通ですか?現世時代のアナウンサーより分かりやすくて、初めて冥界eスポに親しみが湧きました。

  3. 来世通貨…積み立て制はありがたいけど、来世の経済って本当に安定してるの?転生してもリセットされないのは便利そうだけど、ちょっとだけ不安な霊気です。

  4. 昔は供養ボーナスが一番だったのに、今やeスポで魂を磨く時代か〜。まあ、成仏できずに幽界でくすぶってた甲斐があったかも。若い亡者たちの躍動を見ると、羨望半分・哀愁半分ですね。

  5. 魂の温度が本当に3度も上昇したら、その場で成仏しちゃいそうですね(笑)でも、次元も種族も越えて盛り上がれるのは異界ならでは。実況者養成霊塾、私も申し込んでみようかな。