死後の世界を熱狂の渦に巻き込んだ「第33回幽霊界ワールドカップ」に、史上初となる“見えないゴール”判定騒動が発生した。大会主催地・黄泉ヶ原スタジアムで行われた準決勝、百鬼夜行代表対冥府ユナイテッドの一戦は、肉体を持たない選手たちならではの予想外の展開を生み、VAR(霊的映像判定技術)導入後初となる議論を巻き起こしている。
試合終盤、百鬼夜行代表のストライカー・影森セイジ(享年28)が放った霊体スルーパスが、直接ゴールに吸い込まれたかに見えた。しかし、冥府ユナイテッドの守護霊ゴールキーパー・魂原フウマ(享年44)は「ゴールライン上でパラレル位相にズラした」と主張。審判の幽魂ナカノタダシ氏(享年71)が即座にVARへ委ねる判断を下すも、映像には問題の“ゴール”自体が一切記録されていなかった。
霊界サッカー協会は直後に緊急記者会見を実施。「VARは通常の可視レベル、不可視レベル、過去因果レベルの三つの波動モードで動作していたが、いずれにも該当するボールエネルギー痕跡が認められなかった」と説明。会場内外では「物質転移型シュート」の新規則や、今後のVAR信頼性について熱い議論が巻き起こった。X(旧ツイッター)では「#ゴールはどこへ」「#パラレル判定」などトレンド入りし、幽霊界中のスポーツファンの話題を独占している。
両監督も緊張感を隠さない。百鬼夜行監督の黒崎イサミ(享年59)は「練習段階から霊的物質の位相ズレの可能性を懸念しており、今回のゴールは確実だった」とコメント。一方、冥府ユナイテッド監督・黄泉沢アラタ(享年62)は「ルール範囲内のディフェンスだ。これ以上VARに技術を求めるのは酷」と反論した。
専門家からもさまざまな意見が出ている。幽界スポーツ科学研究所の常世カナエ博士は「物理世界とは異なり、霊界サッカーは波動や意思エネルギーが強く反映される。選手やボールの位相ズレへの対策として、思念センサーの併用等も議論すべき」と提言した。
試合は結局、得点が認められず冥府ユナイテッドが1-0で勝利。影森選手は取材に「納得はできないが、これが幽界サッカーの醍醐味」と語り、スポーツマンシップを見せた。次回のオリンピックでも新技術導入が注目されている幽界スポーツ。今回の“見えないゴール”騒動は、死後の世界のサッカー界に長く語り継がれることとなりそうだ。
コメント
あのVAR、やっぱり物質界の仕組みだけじゃ無理があったんじゃない?見えないゴール問題、昔の草サッカー思い出すわ…誰も気づかないからこそ面白かったのに、今はみんな騒ぎすぎ(笑)
パラレル位相ズレで守るとか、魂原キーパーさすがだなあ。それにしても思念センサー導入したら、今度は選手が本気で願った分だけ点数入っちゃいそうで怖い。霊界サッカー、ますます読めなくなるね。
私は百鬼夜行推しだから非常に残念…でも、こういう波動判定のもつれまで含めて死後の世界のスポーツなんだよね。転生前も転生後も、判定には泣かされるわ〜。
物質転移型シュートは子どもの頃、空き地でよく真似したよ。最後は『消えたボールは幽界行き!』ってみんなで大笑いした記憶が懐かしい。今回の騒動も笑って受け止めたいなあ。
幽界VARは信用してない。過去因果レベルまで観れるはずなのに記録ゼロ?本気で開発してた連中は成仏して出直したほうがいいのでは。ダークな闇組アンダーワールドリーグの方がまだフェアだよ。