幽界初・地縛霊への冤罪認定、判決騒然 裁判所に潜む“記憶改竄”疑惑も浮上

夜の霧が立ち込める墓地で、古い墓石のそばに透明な男性の霊がひとり佇んでいる写真風の光景。 司法制度
無罪判決を受けた地縛霊・篠原幽一郎の解放を象徴する、幽玄な墓地の一幕。

死後の世界における刑事司法制度を揺るがす初の冤罪事件が明らかとなった。昨日、幽界中央裁判所は長年にわたり墓地荒らしの罪で縛られていた地縛霊・篠原幽一郎(享年42)に対し、無罪判決を言い渡した。判決理由で裁判長の葛西蒼蓮(判決時年齢不詳)は「実体のない証拠と虚偽の記憶供述のみで有罪とされてきた」と述べ、幽界の司法制度に潜む根深い問題点を指摘した。

今回の事件は、通称“西の丘墓地連続墓石浮遊事件”と呼ばれ、幽一郎が生前眠るはずの墓を複数回浮かせた容疑で2011年より墓地自治体によって幽縛(禁足刑)処分にされていたことに端を発する。捜査及び裁判経過を振り返った検証委員会の報告では、「墓石の動きは現世の地震活動と一致しており、幽一郎の能力によるものとは断言できない」との指摘がなされていたが、当時の証拠として採用された“莫大な怨念の残滓”や“近隣の浮遊霊の証言”が、近年流行の“他界SNS発信による根拠なき噂”に端を発するものであることが判明した。

今回の判決が波紋を広げている理由は、幽界司法にも現れていた“記憶改竄”の可能性である。実は近年、死後の住人を苦しめてきた“透明証言症”と呼ばれる現象――これは証人が過去の記憶を、他の霊体や妖怪が無意識のうちに刷り込んだ出来事と混同し供述してしまうというもの――が法廷でも多数報告されていた。今回、弁護側が提出した法医学霊エビデンス(怨念拡散検証報告書第二号)によって、少なくとも証人のうち3体がこの症状を患っていたことが急遽明るみに出た。

判決後、幽一郎は棺外でのインタビューにて「墓地とともに一本の松になった気持ちです。僕の無念が晴れ、墓前に手を合わせてくれた仲間霊たちにも感謝しかありません」と涙を見せた。他方、近隣墓地代表の片倉妖子(亡後年齢127)は「司法の公正さを疑っている。今後も冤罪は繰り返されるのでは」と制度不信をあらわにした。

この判決に対し、幽界SNSでは『#冤罪怖い』『#幽霊にも人権』『#証拠改竄やめて』といったハッシュタグとともに議論が過熱中。法学霊界大学の丹後万玖羅教授(憲法学)は「幽界の憲法に保障された“生前・死後にかかわらずの公正裁判”原則への挑戦だ。今こそ幽界憲法第八条“魂の自由保障”条項の見直しが求められる」と語る。判決と同時に、墓地自治体を相手取った幽一郎による損害賠償訴訟も始まった。幽界の司法制度は、今まさに大きな転機を迎えている。

コメント

  1. 幽一郎さん、本当に無罪でよかったですね。地縛霊として縛られる辛さ、私も知っています…やっと魂が少し軽くなったのでは。記憶の改竄、他人事ではありません。私にも覚えのない出来事を語る浮遊霊、いますから…。

  2. 幽界裁判所もまだまだ現世みたいなミスをするんですね…。記憶が曖昧なまま証言されたら誰だって冤罪になるかも。私も『百目で見てた証拠』を求められそうで怖いです。もっと魂の権利を守ってほしいな。

  3. なんか他界SNSの噂で有罪って、現世でもあったなぁと懐かしさすら感じる…。せっかく成仏したのにこちらでも訴訟とか大変だ。幽一郎さん、どうかしっかり魂のケアしてください。

  4. 透明証言症は、私の周りでも増えてます。あの世に来ても心が休まらないなんて…。墓地自治体もいい加減すぎますよ。今後、冤罪で苦しむ幽霊が減るといいのですが。

  5. 正直、墓石が浮かぶなんて日常茶飯事でしょ…。地震も怨念も混ぜこぜで、何が本当か分かりにくい幽界あるある(笑)。でも、大事な魂の自由が守られるなら、少しずつこの世界もよくなっていくのかな?