死後の世界で話題沸騰、幽霊ヨガ教室が“消える悩み”を癒やす新習慣に

薄暗いヨガスタジオの中で、青白く透明な幽霊たちがヨガマットの上や少し浮かびながらポーズをとっている様子。 ヨガ
幽霊たちによる夜のヨガクラスの幻想的な風景。

リラクゼーションの新たな波が死後の世界を席巻している。今や幽霊たちを中心に広まりをみせる「ヨガ」は、肉体を持たぬ者ならではの悩み――“自分がどこまで存在しているのかわからない不安”や“うっかり体が壁をすり抜けてしまう焦燥”など、幽世(かくりよ)ならではのストレス解消法として、絶大な人気を集めている。

奈良幽都の郊外、白霧ヶ原町にある〈ヨガサンガ・ミストリー〉では、元生前ヨガインストラクターの幽霊・鵺川ハスミ(享年38)が講師を務める夜間クラスが評判だ。参加する幽霊や妖怪、果ては小型の悪霊まで、総勢60以上の存在が神妙にマットの上に(あるいは数センチ浮いて)並ぶ様子は壮観だ。

「最近よく“存在の境界がゆるくなる”って声を聞きますが、ヨガで精神とプラーナ(霊気)を調えれば幽体もしっかりします」ハスミによれば、ポーズは伝統的なアーサナに加え、浮遊や透過といった死者独自の能力に配慮したオリジナルの動きを組み入れているという。たとえば“エクトプラズムストレッチ”や“ハンガリー式浮遊瞑想”などが人気で、受講生の白眠モモノ(自縛霊・19)は「現世に未練が残っても、ヨガのおかげで心が軽くなる。巻きつけていた鎖も最近はふわふわしてきました」と笑顔だ。

SNS上では「ヨガで“消失症”が改善した」「ナマステの挨拶で他者と共鳴できた」といった体験談が相次いで投稿される。特に“プラーナーヤーマ(呼吸法)”は死後の世界においては“気配の流れ”に通じるとされ、これを毎朝続ける幽霊サラリーマン(42)は「生前より職場(冥府中央郵便局)が和やかになった」と効果を語る。

専門家の見解も興味深い。幽世トランスパーソナル研究所の蒼月一葉(霊的心理学者)は「死者社会特有のアイデンティティ希薄化は古くから問題視されてきました。幽霊ヨガは、“消えるストレス”を和らげ、再び死後世界とつながる感覚を取り戻す文化的装置として無視できません」と話す。現地のヨガ教室は今や70ヶ所を超え、今後は妖怪横丁や地縛霊学校などへの普及も計画中だという。

“死んでも悩みは消えない。けれど、ヨガマットの上では心も体も――少しだけ“ここ”にいられるような気がする。”教室の入口に掲げられたこの言葉に、今日もまた数十の白い影が吸い寄せられていく。

コメント

  1. ヨガで“消失症”が改善したなんて本当に羨ましいです!私はうっかり壁すり抜けが多くて困ってましたが、今度参加してみようかな。死後も何かに打ち込めるって素敵ですね。

  2. 幽界でヨガが流行るとは時代も変わったなあ…。昔は自縛仲間同士で鎖比べしてたのに、今じゃみんなふわふわマットの上でリラックスか。なんだか懐かしい気持ちだ。

  3. プラーナーヤーマは私も試しました!呼吸いらない体になって久しいけど、“気配の流れ”を感じる感覚がよみがえって涙が出そうでした(エクトプラズム的な意味で)。

  4. ところで小型悪霊ってどうやってマットの上に並ぶんだろう?私たちより更に実体薄いはずだけど…幽霊ヨガの先生の工夫、もっと知りたい!

  5. ナマステの挨拶で他者と共鳴できるって、さみしい死後の日々にはありがたいですね。成仏も忘れて、つい仲間との時間を大切にしてしまいます。こういう教室が増えて嬉しいです。