かねてより温室効果ガスによる霊界の気候変動が問題となる中、幽界北部・水辺地帯で河童族が主導する『カーボン林』計画が急速に注目を集めている。幽霊や妖怪、そして精霊たちが暮らす異界社会で、二酸化炭素吸収の切り札として新たに開発された『古代コケ森』が斬新な省エネ策として導入されることとなった。
この計画の中心となっているのが、生態系復元士・河口鱗次郎（かわぐち りんじろう、齢不詳）を代表とする北幽沼河童協会。彼らは200年にも及ぶ水質浄化の知見を活用し、世界初の“霊体CO2吸着コケ”の増殖プロジェクトを始動した。「通常のコケでは霊気を帯びた温室効果ガスが取り込めませんが、私たち河童の特殊な酵素術で幽体分子も固定可能となりました」と鱗次郎は独自技術を誇る。
河童協会は昨年より、沼地の底から保存状態の良い古代コケの胞子を採取し、人工太陽光と幽水を組み合わせた温室で培養。試験区画では、24時間で通常の4倍量のCO2を吸着し、さらには生物多様性の向上も確認された。省エネ啓発を牽引する“河童エコサミット”では、妖怪外交使節団の間で「地上生態系へ転用できるのでは」と大きな反響を呼んでいる。
気候政策に詳しい死神エネルギー庁・環境部の大槻夜音（47）は、「これらのコケが幽霊や妖怪による排出ガスも効率的に固定できるなら、死後の世界全体の炭素収支に革命をもたらす」とし、UNGSCC（国連幽界気候変動枠組条約）への先進事例として提案中だ。だが、急速なコケ繁茂により一部妖精が『コケアレルギー』を訴えるなど、生態系バランスへの配慮も求められている。
SNSでも話題は沸騰。現地在住のぬらりひょん系インフルエンサー・百々目荒次郎は「河童の省エネ文化、すごすぎ。妖怪たちにもカーボン森散策デトックスおすすめ」と投稿。霊界電力組合も、夜間の太陽光発電不足に備え省エネ型の森育成を支援すると発表した。気候変動対策と生物多様性保護の融合というこの取り組みが、死後の世界にどのような波及効果をもたらすのか――その動向から目が離せない。
コメント
河童さんたちの取り組み、本当に素晴らしいと思います！私も沼の端に住んでるので、昔より空気が澄んでる気がします。あの世にもちゃんと環境守る意識が広まってて嬉しいです。
いやー、コケがそんなにCO2吸うとは驚きました。転生前は地上で森を守ってたけど、幽界でも環境問題ってあるんですね。カーボン林、今度見に行ってみようかなぁ。
また急激な導入で妖精さんたちが困ってるのか…。何百年も霊界で生きてると、対策よりバランス大事って思っちゃう。アレルギー対策もちゃんと考えてほしいわね。
河童の酵素術には笑った！俺も昔、河童に甲羅磨いてもらったことあるけど、やっぱ彼らは技術派だね。どうせならコケの上で盆踊り大会でもやりゃ、CO2もどんどん吸ってくれるだろｗ
子猫の頃、古代コケの森でかくれんぼした思い出が蘇りました…。今こんなに話題になるなんて、なんだか懐かしくて心が霊振るえます。たまには原点に帰るのも大事ですね。