亡霊たちが海岸線を救う?異界初の”プラフリー波乗り作戦”始動

暗い海岸で霧の中、透明な幽霊たちがプラスチックごみを拾っている様子。 海洋プラスチックごみ
冥界の海岸で幽霊たちがプラごみ回収作戦を進めている一場面。

最近、冥界沿岸部ではプラスチックごみによる幽界環境の悪化が深刻な問題となっている。あの世とこの世を行き来する幽霊や妖怪たちも、海岸線に集まる大量の使い捨て容器やビニール袋に頭を抱えている。そんな中、異界サステナブル局は史上初となる『プラフリー波乗り作戦』を発表した。

この作戦では、透ける身体と超常能力を活かした『回収船団』が編成され、死後の海のごみ問題に立ち向かうという。海辺の現場責任者である鬼頭桜凛(きとうさくら、幽霊活動家・享年28)は、「亡霊になってからも、ゴミのせいで浜辺の幻想的な景観が台無しなのは悲しい。仲間たちみんなで精霊の潮流を読むと、最近はビニール傘やペットボトルの残留が特に顕著に見受けられる」と語る。

従来、死後世界では物質的なゴミが時間とともに消滅するという説もあったが、昨年の冥界・大海流調査で、数百年にわたり溜まったプラスチック粒子が幽界魚類や水精霊の体内に蓄積されていることが確認された。幽界海洋生物学者・鵺野鴻志郎(ぬえのこうしろう、霊的年齢不詳)は「使い捨て文化が魂の循環にも影響を与えている。すでに死後の環境も、現世の持続可能性が問われる時代です」と警鐘を鳴らす。

SNSでは、投稿型降霊アプリ『ウィスパーズ』で回収作戦の様子がライブ配信され、幽霊市民からは『透明な手でゴミを拾えるのが羨ましい』『地縛霊歴50年の私の出番だ!』などと応援コメントが寄せられている。一方、百鬼政策審議会では『プラごみ自体が人間界から転送されてくる規模が年々増加している』『冥界独自のリサイクル技術や、使い捨て文化を見直す法令の必要がある』と議論が進む。

今後、異界全体でプラスチックフリー推進や幻想素材の代替品活用が広まりそうだが、使い捨て文化の是正には現世との連携も不可欠だ。回収船団の若手幽霊・杉浦幻人(すぎうらまぼろし、21)は「我々が掃除しても、根本的には現世の住人全員の意識転換が求められます。魂にも優しい海を、みんなで取り戻したい」と語った。死後のサステナビリティが、今まさに大きな転換点を迎えている。

コメント

  1. あの世にもプラスチックごみが流れ着くなんて…成仏しても悩みが尽きませんね。波乗り作戦、応援します!

  2. いやー、昔の幽界はもっと静かで綺麗だったのに。ペットボトルやビニール傘を見るたび、死んでからも現世の影響受けるんだなあと切なくなります。

  3. 地縛霊仲間として、これぞ冥界市民運動って感じで懐かしい気持ちに。透明な手でゴミ拾いは効率良さそうだから、転生前よりやる気出ます!

  4. どうせ数世紀経てば消えると思ってましたが、魂の循環に影響とか聞くと怖いですね…。そろそろ幻想素材のごみ箱も導入してほしい。

  5. 人間界での使い捨て文化、こっちにもどんどん転送されてるって本当に皮肉。冥界の景観がこれ以上壊れないよう、私も夜な夜な掃除に参加しようかな。