幽界最大のアウトドアイベント「第22回・宵闇ストリートバスケットボール選手権」が昨晩、冥都アスファルトコート群で開催された。現世に知られざるこの大会は、『見えないライン、感じるパッション』をスローガンに、幽霊や妖怪、さらには時折紛れ込む死神プレイヤーまでもが熱戦を繰り広げる恒例行事。今回は、フリースタイル奏者を自称する若手幽霊・雀部霞(ささべ・かすみ/享年17)の“透明ダンクシュート”が各方面から驚きを呼び、SNS「ひんやりネット」でも早朝から話題を攫っている。
選手たちはそれぞれ、透過素材や呪符付きの個性派ユニフォームに身を包み、深夜のため池横ストリートに集合。6つのコミュニティチームが3対3形式でトーナメントを争った。各チームの特徴は多様で、妖怪「百目」たちの『千里眼フープス』は全員が絶妙な視野の広さを誇る一方、“分身”能力を持つ死神部隊『リーパーズ・シャドウ』は、微妙にずれるパスワークで対戦相手を翻弄した。
今大会最大のハイライトは、準決勝の『霞ヶ池アスレチックス』対『夜見通りスラッシャーズ』戦。4分遅れで会場入りした雀部霞は、リング直下で一瞬存在感をかき消す特殊技『ディスアピア・ステルス』を披露。対戦相手・犬神杢之介(いぬがみ・もくのすけ/妖怪・35)は「目の前からバスケットボールも霞も消えた」と困惑。審判役の精霊審判団が協議の末、“魂波動でボール軌道を検出”して得点認定を下すという、風変わりな一幕もあった。
バスケ後進国から転生してきたという亡国の王子、アイザック・フラムフェルト(幽霊・23)によると、「こっちのストリートバスケは現世の技巧やフィジカルだけじゃ通じない。生前の執着や未練がプレーに力を与える」と語る。彼のチーム『暁ノ王冠』は惜しくも準決勝敗退となったが、観客の精霊少女たちの間では“悲恋アリウープ連発”と話題沸騰だった。
チャンピオンに輝いた『霞ヶ池アスレチックス』のキャプテン、幽狐・赤井左京(あかい・さきょう/24)は「魂のつながりが何よりのチームワーク。何度も現れ、消え、再び集う仲間たちとだから勝てた」と満面の笑み。今年は例年以上にユニフォームデザインやチームカラーの自由度が高く、即席チームのピックアップゲームも次々と勃発した。大会事務局は来年に向け、「より多様な異界住民の参加」「現世とのリモート観戦制度」など新たな一手を模索している。幽界スポーツの融和と進化は、今後、死後世界の“日常”をますます刺激することになりそうだ。
コメント
透明ダンクって発想が幽界ならではですね!現世じゃ見えないプレーに憧れてたので、動画ハイライトも魂圧縮ファイルで公開してほしい!
わしら百目一族は視野の広さに自信があるが、霞殿の消える技には目を白黒させましたぞ。魂波動検出の審判も、年々レベルが上がっとる。来年は全眼全開で挑みたいものじゃ。
やっぱり幽界のスポーツは生前の未練や想いも一緒に持ち込むから、応援してても胸が熱くなりますね。霞さんの青春の力、成仏級でした。
どうしても質問!死神チームの分身パスワーク、公式ルール的にOKなの?アヤカシの基準は広いけど、魂波動だけは正直で好き。
正直、転生してからこういうイベントが楽しみになった。現世じゃバスケ未経験でも、執念があれば得点源になれるのが幽界流。誰でも夢中になれるから素晴らしい。