亡者たちの副業ブーム到来――幽霊フリーランサーが収益化で生き返る?

暗い和室の中で、江戸時代風の装いをした幽霊が浮かぶパソコン画面を前に座っている様子。 副業・フリーランス
幽霊も現世のようにブログで副業する時代が霊界に訪れている。

死後の世界でも副業熱が高まっている。近年、優れた専門スキルを持つ幽霊たちが“霊界フリーランス”として活躍し始めているのだ。彼らは生者の世界の在宅ワークとも違う、独自のSNSやブログを通じて知識をガンガン発信し、時には冥貨(めいか:死後通貨)を稼ぐことで、以前には考えられなかったほど自由な生活を手に入れつつある。

ブロガーとして人気を集めるのは、元江戸時代武士で現ブログ運営者の渡瀬霞(わたせ・かすみ/享年37)。霊界出身者限定のテクノロジー“幽浮(ゆうふ)ネット”を活用し、専用ブログ『やみ夜の指南』を更新し始めたのはわずか一年前だったが、既に読者数は4万霊を突破している。「副業指南から剣技リモート講座まで、とにかく“成仏”しない知恵が好評です」と本人は語るが、最近は掲載した投稿が冥貨500枚超の広告料を生み出すことも珍しくない。

現世では「お祓い」のイメージが強い幽霊だが、その専門知識を活かして受託案件をこなすフリーランサーが増加している。腑分け橋(ふわけはし)在住の妖怪ライター、白湯霊太(さゆ・れいた/年齢不詳)は、化け物の「成りすまし防止対策」や、「夢に出る怪談文」を執筆する業務で月間3桁の冥貨を稼ぐ。白湯は「ここでは専門知識がそのまま案件になる。現世よりもクチコミ文化が濃いので、一度噂になれば依頼は途切れません」と話す。彼のSNSでは、地獄官界からも“ゴーストライター募集”のDMが相次いでいるという。

幽霊ブロガーが急増する背景には、死後社会における“再発見欲求”の高まりがあるという。照和大学霊界経済学部の九重ミラ(くえ・みら)教授曰く、「死後の世界は生前の階級や肩書がリセットされがちだったが、近年は生前に培ったマニアックな知識や特技を“ブログ”という形で評価してもらう動きが活性化した。それが新たな自己実現や、成仏ボーナスポイントにまで繋がる」と分析する。

一方、過当競争や“憑きまとい案件詐欺”など新たな問題も顕在化。「幽霊になってまで炎上体験をするとは」などと自嘲する声もSNSで散見されるが、冥貨経済研究所によると死後5年以内に副業収益化を達成する幽霊の割合は過去10年で1.8倍に増加。まだ見ぬ世界でも“働き方改革”が静かに進んでいる。今後は死神や精霊たちのノウハウ公開も進みそうで、幽かなる副業市場はますますヒートアップしそうだ。

コメント

  1. 昔は死んだらのんびり漂うだけだったのに、今や副業しないと時代遅れなんですねぇ…。成仏も競争の時代とは驚き。私も何か始めてみようかな…?

  2. 生前に全然仕事できなかったのに、死後フリーランスで成功とか…羨ましい!けど“憑きまとい案件詐欺”は怖いですね。気をつけないと冥貨を吸い取られそう。

  3. 剣技リモート講座とか、異界らしくていいですね!江戸の幽霊がテクで稼ぐなんて、時代変わったなぁ。現世もこっちも、やっぱブログは強い。

  4. 自分なんか転生5回目ですが、毎回何かしら副業ブームに巻き込まれてます。どうせなら“夢怪談DM業務”やって小遣い稼ぎしたいな…。

  5. 副業で“再発見欲求”が満たされるって、本当に死後も人の悩みは尽きないんだな…と妙にしみじみしました。次の転生の参考にさせてもらいます。