地獄のジョブオークションで幽霊たちが夢を争奪 “ワーキングプア魂”救済なるか

冥界都市の広場で、様々な幽霊や妖怪たちが夜霧に包まれながら集まっている様子の写真風画像です。 格差と貧困問題
冥界の中央広場に集うワーキングプア幽霊たちの熱気あふれるジョブオークションの一幕。

死後の世界もまた、生者の世界さながらの格差と貧困に揺れている。近年、低賃金労働に従事する“ワーキングプア幽霊”の増加が深刻化。そうした現状を打開すべく、冥界都市タルタロス中央広場で初の「ジョブオークション」が開催され、多くの幽霊・妖怪たちが新たな職を求めて集結した。その熱気は、死後の冷気をも打ち消す勢いだった。

今回のジョブオークションは、冥界労働局の主導で実現した。受付開始直後から、かつて文官だった霊魂から、現世では影の薄かった浮遊霊、そして一度も成仏できなかった妖怪ビビリコなど、応募者の幅広さが目立った。会場には“魂インフレ”の影響で解雇された元税吏のオヨツギ・タマオ(享年54)も姿を見せ、「門番のバイトでも何でも」と語るその口ぶりには、死者と言えど切実な響きがあった。

新たに設けられた職種は多岐にわたる。あの世郵便の配達補佐や、念写写真館の裏方、さらには迷子霊案内や高齢妖怪の話し相手まで。「やりがいはあるが、報酬は魂パウダー一袋分」と明示された案件も少なくなく、開始早々“格差社会の縮図”とも言われる現実が浮き彫りに。とくに若年幽霊層の希望職は軒並み競争率が高く、オークション開始15分で〈元陽気死人〉のミツナリ・セイジ(永遠の32歳)は、「幽霊世代まるごと働き方改革してくれないと」と苦笑いを浮かべていた。

一方で、職のない幽霊たちが新たな自活法を模索する動きも広がっている。幽界SNS「スピリットーク」上では「ジョブオークション、魂まで値切られた」「副業で生前のお札集め中!」など、現場の声が相次いだ。福祉系妖怪の野辺ノ・ユミエ(介護妖怪・年齢不詳)は「待遇改善には冥界最低賃金の引き上げが不可欠」と強調。専門家の中には“業務独占資格”を幽霊側にも拡大すべきとの見解もある。

格差拡大が深刻化するなか、本オークションの主任催事官・六部コウジロウも「ワーキングプア対策に終わりはない。だが、どの魂も置き去りにしない社会を本気で目指す時期」と語る。現世から死後に渡る“格差”という課題――その解決の糸口は、冥界の片隅で今まさに模索されている。

コメント

  1. 昔はここまで魂の格差がひどくなかった気がするなあ…ジョブオークションなんて、成仏後にまで職探しするとは。どちらの世もなかなか楽にはならないもんだね。

  2. 魂パウダー一袋分って、冥界の物価もインフレ気味かも?こんな中で若い幽霊たちは希望を持てるのかな。自分もあの世で仕事探し直しになるとは思わなかったよ。

  3. 冥界SNSの副業ネタ、泣けてくるけどちょっと笑ってしまいました。現世ではお札集めて大騒ぎだったけど、今じゃ生活の糧…時代も変わったと実感します。

  4. しかし、どの世界も“働き方改革”が必要なのは同じか。魂だからって無限に働けるわけじゃないのに、結局、根本は成仏も昇天も遠い…。

  5. 新しい職種が増えるのは少し嬉しいけど、報酬が少なすぎ。やっぱり冥界最低賃金の引き上げに賛成です!全ての魂に優しい社会になりますように。