死んでもなお続く“紙の山”に悩まされる現世業務。そんな悩みを抱えていた銀行業界大手、彼岸バンクが、異界初の“妖怪RPA”プロジェクトに着手したことが明らかになった。背景には、近年急増する生き霊顧客からの書類誤送信や、霊魂認証手続きの複雑化によるバックオフィスの業務混乱があった。
彼岸バンクでは昨年から、業務改善室長である只野霧一(ただのきりいち 亡年不詳)が中心となり、妖怪技術者集団『影移しギルド』とタッグを組み、RPA(Robotic Phantom Automation)の導入検討を進めていた。特に、生き霊顧客が現世と霊界を行き来しながら複数支店に同時に口座開設申請することで発生するデータ重複や、業務案内書類が『うっかり地獄』行きとなる“郵便ミス現象”が、深刻な業務停滞を引き起こしていたという。
開発された妖怪RPA『ミセシロ・モチコ』(開発責任者:河童原萩之丞)は、封書にこっくりさんの召喚標を自動で貼ったうえ、封じ札を付与する工程をシステム化した。これにより、誤送信の原因となる“生前のクセ”をデータベース化し、迷える書類が正しい魂主にたどり着く精度が大幅に向上した。猩々おしぼり部長(54)は、「モチコくんは夜な夜な書類迷路をパトロールするので、職員の残業呪も半減した」と語る。
導入後3か月で、彼岸バンク全15支店の誤送信件数は実にゼロに。加えて、サキュバス窓口(担当:夢野深雪)は「妖怪RPAを通じて現世言語と幽界言語の自動翻訳機能が付き、地縛霊のご年配層のお客様にも安心してご利用頂けるようになりました。まさに業務手順の“成仏化”です」と語る。一方、導入初期には化け狸エラーが多発し、書類が予定外の地底倉庫へ消えるトラブルもあったが、影移しギルドが修法バグフィックスで対応したという。
SNS上では『幽界IT革命ついに来た』『成仏するまで働かんなら妖怪RPAのほうがマシ』との声も多く、一部企業では「妖怪RPA転職」を希望する亡者の求人が急増。只野室長は「業務が合理化され、社員一同、ゆっくり日の浅い幽霊対策会議ができそう。今後は“あの世送金業務”への応用も目指す」と意欲をみせている。異界社会のバックオフィス変革は、いま大きな転機を迎えている。
コメント
現世でも紙の山に悩まされてたけど、まさか成仏してからもRPAのお世話になるとは…時代が変わったのを実感しました。ミセシロ・モチコさん、今度うちの墓前にも迷った通知送らないでね~。
うちの親父も地縛霊だけど、こういう自動化が進むと幽界も便利になるなあ。誤送信ゼロは本当にすごい。影移しギルド、昔はただの怪談だったのに、今や最先端集団なのが感慨深い。
妖怪RPA転職が流行るとか、異界も働き方改革なんですね。地底倉庫トラブルには笑いました。私も郵便ミスで何度『うっかり地獄』送りになったことか…。
夜な夜な書類迷路を巡回パトロールするミセシロ・モチコさん、ちょっと会ってみたい!妖怪がITの主役になるとは、あの世も奥が深い…というか摩訶不思議。
どうせなら生前にこのRPA欲しかったですわ。とはいえ、成仏化する業務手順には拍手。あとは地底倉庫から昔の未払い供養料が戻ってこないか、それだけ気になります。