幽界第五区域に広がる“あの世沼地”で、プラスチックごみが大量発生し、生分解性ストローや幽霊専用レジ袋が想定外の生態系混乱を引き起こしている。沼地の住人たちや専門家の間では「現世の循環型社会理念が死後にも波及しつつある」との議論が広がり、環境省霊部が緊急調査に乗り出した。
沼地の監督官である妖怪ホタル班長・陰野明星(かげのあけぼし、732歳)によれば、「3年前の容器包装リサイクル法・転生版施行以降、一部の幽霊が“リデュース”精神を履き違えて、死後も現世から持ち越したプラスチック製トロフィーや買い物袋を捨てていくようになった」という。事態が深刻化したのは、最近沼のウナギ幽霊が“レジ袋”をベッド代わりに愛用するようになり、幽界生態系に想定外の習慣が広がったためだ。
事実、沼地ではプラスチックごみを咥えたウナギ幽霊たちが、よく護岸をくねくねと移動している。その様子を目撃した冥界生物学者の珠洲澪(すずみお、没後413年)は「生分解性プラスチックですら、魂の残滓と化して循環速度が10年単位で遅くなる」と警鐘を鳴らす。一部の袋は“怨念”を帯びており、強いため息や落胆をきっかけに幽界全域の空気を濁らせるとの報告もあった。
また、現世で進むレジ袋有料化の余波も異界に影響している。今年春には、転生省が“幽界プラスチック資源循環促進法”を発令したが、沼地の住人や妖怪たちの間では「再資源化ルートが未整備」「埋立処分場には魂の重みが残り捨てづらい」など、多くの課題が噴出している。特にストロー廃止運動を率いた幽霊学生団体“ナイスゴーストズ”は、最近ウナギ化した友人の呼吸困難問題も訴えており、SNSで次のような声が上がっている。
「生前のクセでプラスチックを使いすぎていた。異界でも心から反省したい(ゴースト主婦・タマシイ美智子/SNS投稿)」という悲痛な告白や、「レジ袋を持ち続けること自体が死者の未練につながるのでは?(妖怪評論家・雲井愁斗)」という指摘も添えられ、幽界社会でのプラスチック依存体質見直しが急がれる。
醒醒庵大学の冥界環境学教授・黄泉川蓮太も「幽界も現世も、循環型社会の鍵は“持たない幸せ”への価値転換にある」と語る。今後は生分解性素材を幽界基準で改良し、“怨念レス”なプラ素材の開発や、ウナギ幽霊たちの棲みか再生プロジェクトも本格化する予定だ。次の転生サイクルが始まる前に、死後世界ならではのサスティナブルな行動が問われている。
コメント
えっ、ウナギ幽霊までレジ袋使い始めたなんて!現世のクセって、死んでもなかなか抜けないんですね…。これぞあの世クオリティ。さすがに循環止まるのはまずいから、そろそろ本気で見直さないと!
沼地の空気が怨念ストローで濁る…なんだか懐かしい話です。私も生前はコンビニ袋が手放せなかったので、他人事じゃありません。今は魂が透けてますが、環境への未練はしっかり残ってる気がします。
異界でもゴミの問題かあ…。転生してまでプラスチックごみと向き合うなんて、正直驚きです。ウナギ幽霊の呼吸困難とか、見えない所で色々大変そう。幽界独自の解決策、ぜひ見てみたいです。
未練レジ袋…私の友人もあの世に来てからなかなか手放せないって嘆いてましたよ。便利なものほど魂の重みになっちゃうんですね。そろそろ“怨念レス素材”開発のクラウドファン霊ディング希望します!
妖怪ホタル班長も大変だな…死後まで現世のゴミ法に翻弄されるなんて皮肉がきいてる。幽界にもエコバッグ普及しないんですかね?魂の断捨離こそ転生の第一歩!とか言ってみる。