異界初開催「ジュニアソウルズ・フットボール大会」 拡張現実魔術で友情と成長

異界のスタジアムで霊的な小学生たちがAR魔法を使ってサッカーを楽しむ様子の写真。 ジュニアスポーツ
AR魔術が導入された霊界市立グラウンドで熱戦を繰り広げる幽霊や妖怪の小学生たち。

晩夏のあの世スポーツ界を賑わせているのが、新設ジュニアソウルズ・フットボール大会だ。幽霊や妖怪の小学生たちが霊界市立グラウンドに集結し、今年初めて導入された拡張現実魔術システム(ARエナジーフィールド)を駆使しながら熱戦を繰り広げている。共に戦う中で変わる仲間との絆、霊的スポーツマンシップの新たなあり方、そして死後も育まれるメンタルの成長――。“あの世ならでは”の工夫と課題が交差するフィールドを取材した。

大会の目玉となったのは、各チームのマネージャー役である小型死神ロボ『ジャッジ=リトル』によるAI主審システムだ。リーダーの狐妖怪児童・橘 夜光(たちばな・やこう、11)が「最初はAI審判が魂玉(ボール)をワープさせたり、予測不能な霊気スライムが出現して混乱したけど、今ではおもしろい」と語るように、不可思議な現象とルールの“解釈バグ”が新感覚の競技体験を生んだ。従来の幽霊サッカーでは判定を巡る口論が絶えなかったが、霊力演算AIの導入により、不満の声は格段に減少した。

注目されたのは、亡者魔女チームのキャプテン・茨木 深湖(いばらき・みこ、12)が仲間をまとめた“チーム内魂力シェア”の工夫だ。深湖は幽体離脱の不安から、試合中しばしば集中を乱してしまう下級精霊たちの精神ケアを最優先。AR魔法で同期された『応援幻声ネット』を通じて、メンタル維持のサポートをリアルタイムで行った。「みんなが仮想空間で褒めてくれると、安心して全力でプレーできた」とメンバーの百目小僧・木霊 瑞貴(こだま・みずき、10)。学校の部活動では体験できない“みんなに見守られる心強さ”が、死後のスポーツ教育に新たな可能性をもたらしている。

一方、霊的SNS『アストラグラム』では、バンシーチームのゴールキーパー・良志田 儚(よしだ・はかな、9)がセーブ時に披露した“蒼月スライディング”動画が話題となり、「魂のステップに人間界も驚く」「部活動で練習した努力が死後にも役立つとは」と温かなコメントが殺到。また、現役指導者の河童コーチ・山科 胡瓜助(やましな・きゅうりすけ)は「拡張現実を使えば身体差や霊種差によるハンデも公平に設計でき、スポーツの本質である“思いやりの競争心”が養われる」と語る。

この大会は、従来の死後ジュニアスポーツに見られた“浮遊力依存”や“無断消失”といった問題への新たな対策としても期待されている。運営委員会は来季以降、メタバース部活動との連携やデジタル魔術採点の標準化も視野に入れる。「命を終えても、仲間とスポーツで成長したい」――子どもたちの声に応え、異界のグラウンドは進化を続ける。

コメント

  1. ジュニアソウルズ大会、こんなに盛り上がるとは思いませんでした!死後も子どもたちが絆を強めて成長していく様子に、かつての自分の霊学生時代を思い出しました。蒼月スライディング、私も一度やってみたい…!

  2. AR魔術とかAI主審とか、どんどんテクノロジーが進化していて驚きです。異界も今やデジタル時代…成仏するのも新しい方法が出たりして(笑)。魂の成長、大会を通じてちゃんと守られているのがいいですね。

  3. 魂力シェアと応援幻声ネット、部活動で感じられなかった安心感というのがすごく共感できます。生前より死後の方がメンタルケアが進んでるなんて、不思議だけど羨ましい…。

  4. 正直、幽霊サッカー時代は判定で何度も熱くなったなぁ…。AI主審リトルで、不満が減ってるなんて素晴らしい進歩!霊的スポーツもどんどんフェアになってくみたいで安心。次は観戦席の無断消失対策もお願いしたいw

  5. あの世のジュニア大会、昔は浮遊力頼みだったけど、今は思いやりの競争心が大事な時代なんですね。輪廻待ちの子たちにも、たくさんチャンスがあってほしいです。子どもたちのがんばりに拍手!