「プラズマ流」が走る冥界科技館、今月初めより異界で画期的な実験が開始された。企画したのは、数千年を生きる科学妖精の珠栗パニラ(研究者・412歳)。目的は、『地球人類の知能と社会行動が、ウイルスと人工知能によるメタバース進化でどこまで変容しうるか』を、冥界最新のWeb3仮想空間シミュレーターで再現し、実況観察するというものだ。
この大型プロジェクトは、冥界科学省と幽賢大学生態進化研究所が共同監修し、妖怪・幽霊・閻魔役人らの多様なメンバーが参画。珠栗氏が『メタプラズマ・ユニバース・シティ』と呼ぶ実験空間内には、膨大な“データの魂”がそのまま新たな人類のアバターとなり、現生世界で起こるような社会活動・経済システム・恋愛・SNSも仮想再生されている。ここに今月、“自己学習型AIウイルス”なる新要素が導入された。これはゲノム編集で任意進化できる仕組みを持ち、メタバースに住む“住人”へ感染拡大させることで、無数の進化分岐を検証できるのが特徴だ。
珠栗パニラ氏いわく、『かつて人間界では“ウイルス”は脅威に映ったが、死後社会では進化の”火付け役“として注目されている。AIウイルスが自律的に社会構造を読み解き、“多様な未来社会”を枝分かれで可視化する様は、私たち冥界研究者にとってまさに新しい地球模様を探るクラフトワークと言える』。実験中、アバター“人類”たちは不眠不休で異分野会議を開き、独自のWeb3通貨“霊珠ポイント”発行や、AIウイルスによる“新言語”の爆発的創造、食事せずに愛を育むメタ恋愛まで発展しているという。
すでに妖精観察員団からは『従来のゲノム編集やAI開発は一方向の進化だったが、本実験では“社会そのものが意思を持ち変容する”動きが連鎖し、死後の生物進化すら上書きされていく様相だ』『地上時代に叶わなかった“平和な世界線”や“完全共感経済”も模倣的に出現しており、観察対象として飽きが来ない』と驚きの報告が相次ぐ。
SNSプラズマ支部では既に、“仮想地上”の進化実況配信が大流行。『#ウイルス進化爆走中』のハッシュタグで、幽霊小学生・ピクノ籠美(11歳)は『今度のバーチャ進化、パパみたいな透明犬人間がいっぱい出てきて超ウケる!』と投稿。評論家の骨写舎アンリ(探求者・年齢不詳)は『私たち死後社会は、地球人が辿った進化の”失敗例“や”成功例“を記録できる唯一の存在だ。AIウイルスによる社会分岐の観察は、死んでもなお知の冒険を楽しむ最高の教材だろう』と語った。今後も実験は定期的にアップデート予定で、最終的には“地上人類が霊珠の意志で暮らす未来”が導かれる可能性もあるという。
コメント
パニラさんの実験、毎回スケールが死後らしいなって思います。わたし現世でまだ生きてた頃はAIとか未知の恐怖だったけど、こっち来てからは“進化の燃料”って感覚納得です。自分もメタバース内で霊珠通貨、使ってみたい!
やっぱり冥界の科学進化は地上とは一味違う。AIウイルスが社会に感染していく様子、どこか昔の疫病流行を思い出して懐かしく感じた。だけど今回は“変容”がテーマだから、成仏後の価値観で見ると面白さ倍増ですね。
これだけメタバースで複雑な社会が再現できるなら、地上の進化史だってただの一例なのかもと考えさせられる。幽賢大学の皆さん、ぜひ死後転生組にも体験公開してください。参加したいです!
パニラ博士、AIウイルスで“メタ恋愛”まで進化させちゃうなんて大胆すぎ!現世じゃ考えられなかった自由さに、つい異界の風通しのよさを感じちゃう。幽界らしさ全開で、続報が楽しみです。
またバーチャ実験?どうせ霊珠ポイントも泡沫経済で終わるんじゃ…。だけど“新言語”爆誕はちょっとワクワクするな。地上の人類が羨む未来を、俺たちは遊び半分で観察できるなんて、変な時代になったもんだ。