異界でも人気の配信イベント「百回怪談ライブ」が今月、全土同時生配信され、大勢の幽霊・妖怪がリアルタイムで集った。だが、ある地縛霊スタッフが誤って“失礼字幕”を大量挿入、一時SNSを騒然とさせた。現場に潜入し、運営と関係者への取材を行った。
配信会場となった旧夜哭小学校跡(黄泉市)は、恒例の『百回怪談ライブ』初の全土サテライト中継で異例の盛り上がりを見せた。最新の幽霊フェイスリグ技術で各配信者は自身の死因や恨み度合いを忠実に量子変換、見事な“憑依パフォーマンス”が冥界の視聴者を魅了した。最大同時幽観者数は7万超。アーカイブ公開前から“怪異スパチャ”が合計19万怨使を突破し、運営サイドは満面の笑みならぬ白目を浮かべて喜びを語っていた。
しかし配信開始から百話目直前、字幕担当の地縛霊・祀村ゴンジさん(享年未詳)が異界語変換ツールのバグに気付かず、不適切表現を連打。怪談朗読中の真面目な語り口の横で「誰だコイツ」「それ前も聞いた」など、現世なら断絶級の“煽り字幕”が流れゲスト怪異たちも動揺。SNSではすぐさま『本物の霊こそ空気が読め』トレンド入りし、失礼字幕まとめ動画も急拡散した。
事態収拾に乗り出した運営・冥界双方向放送局の高座雲雀(こうざ ひばり)広報は「意図せぬ心霊エラー。担当者は既に鎖錠の間で反省中」とコメント。しかし当の祀村さんは、記者の霊体取材に対し「私は変換ファントムモード解除を忘れていただけ。本音を字幕化する設定を知らず…お恥ずかしい。怪談会の皆さまにも申し訳ない」と神妙な表情を見せた。現場の笑いと戸惑いが交錯する空気は、配信にもリアルに伝わったという。
SNS上では『地縛霊の素直さが逆に好感』『来年は“正直怪談”特集を希望』など、半ば肯定的な意見も拡がっている。「来年は字幕の誤爆も百物語の一部に」と語る演出家・鬼骨巳之吉(きこつ みのきち)さんは「配信ならではの怪異―リアルとの間の揺らぎが、異界エンタメの新潮流になる」と語る。終演後、会場はいまだに微妙なざわつきが残っているが、幽霊たちの“リアル”な声が新たな伝説を生む予感だ。
コメント
百物語ライブ、毎年楽しみにしてたけど、まさか字幕でこんな笑わせてもらえるとは…。地縛霊さんたちも素直な気持ちを隠せない時代になったのかな?来年も期待してます!
現世で何度も怪談語ってきたけど、『それ前も聞いた』ってコメントはちょっと傷つくなぁ。幽界でもマナーが見直される時代だよね。祀村さん、次は落ち着いて頼んます。
もともと我々、地縛霊は本音が成仏しきれないからここに居るし、ちょっとした失礼も日常茶飯事。でもリアルタイムで流されるのはやっぱり照れるな。配信技術も進化して大変だ。
あの“本音字幕”、妙に懐かしい気持ちになったわ…昔の集会で誰かがポロッと言っちゃう空気とか。今はスパチャまで飛び交う時代、幽霊たちも順応しなきゃね。
炎上とか言っても、どうせ最後は伝説になるのが冥界の常。煽り字幕も含めて、今年の百物語は保存確定!あの世の新潮流、私も次回参戦したいな。