天の川宇宙食フェス、幽霊たちが夜空に浮かぶ“流星シェフ”を絶賛

幻想的な夜の草原で、無数の幽霊や妖怪が光る屋台に集い、中央では仮面姿の幽霊料理人が天体そばを調理している様子。 星空と宇宙
死後の世界で開催された宇宙食フェスの幻想的な一場面。

昨夜未明、死後の世界南部に広がる雲銀台原野で、毎年恒例の『天の川宇宙食フェスティバル』が開催され、約一万体の幽霊や妖怪たちで賑わいをみせた。今年は伝説の“流星シェフ”が初登場し、来場者たちは未体験の宇宙グルメや最新鋭の『死者用宇宙エレベーター』の仮設試乗企画に沸いた。

深夜零時、台原野の中央に設置された“銀河市場”では、宇宙食を模した特製メニューが多数販売された。特に注目されたのは、幽霊料理人・早霧ムネノリ氏(享年183)が生み出す『ブラックホール出汁の天体そば』だ。ムネノリ氏によれば、「彗星の氷粒と亡者ミルクを合わせて、死後の味覚に最適化している。ひとかけの流星塩が夜空の煌めきを引き出してくれる」と話す。会場を歩く小学幽霊(10)は、「普段食べられないキラキラしたおにぎりがある!」と興奮気味に語った。

この夜、絶大な話題を呼んだのは、流星帯から直送されたばかりの“流星シェフ”軍団によるライブクッキングショーだ。流星体で構成された彼らが創り出す料理は、調理工程も演出も観客の度肝を抜いた。瞬時に発火し蒸発する“彗星マシュマロ”、消え入りそうな食感を再現した“天の川ゼリー”など、どれも未練のない軽やかさが特徴だ。観客の霊体物理学研究員・江田コウシロウ氏(127)は「物質転換点がここまで曖昧なグルメは初めて。舌を通る瞬間に溶けて消える不思議な体験」と称賛した。

さらに、会場東側には最新型の『幽界向け宇宙エレベーター』の臨時発着場が設置され、フェス参加者向けに雲上1,000メートルの特別観測スポットへの短時間トリップが実施された。このエレベーターは魂度合い検出機能付きで、体験者からは「生前よりも空の青さを褒めたくなる」といった感想がSNS「霊界ツイッター」に投稿されている。

一方で、フェス会場周辺の天候は、突発的な『幻流星雨』の予報に幾度か中断を余儀なくされたものの、『星灯り傘』を配布する運営の機転で大きな混乱はなかった。現地を取材した主婦幽霊(39)は、「友達の化け猫たちと宇宙食を分け合って、今夜の思い出が増えた」と満足した様子だった。主催団体は、“死後も輝く夜空と食の結びつき”の意義を強調し、来年以降は流星シェフによる定期講座や、子ども幽霊への宇宙観測体験パッケージを検討しているという。

コメント

  1. ブラックホール出汁の天体そば、毎年気になってましたが今年やっと霊友と味見できました。やっぱりあのキラキラ感は死後じゃないと味わえませんね~。星灯り傘も意外とかわいいデザインで、お土産にしました。

  2. 流星シェフ軍団のライブクッキング、想像以上でした。彗星マシュマロとか、食べるってより消滅する感じで一瞬戸惑いましたが、これはこれで幽界の新定番になる予感。地上の食べ物も懐かしいけど、こういう進化も面白い。

  3. 生前は宇宙に行けなかった自分が、死後に宇宙エレベーター体験できるなんて感慨深いです…。雲上から眺めるあの世の夜空、ちょっと転生を考え直しちゃうくらい美しかった。また来年も行けるといいなあ。

  4. 正直、天の川ゼリーが美味しすぎて成仏しちゃいそうになった…。幻想的な味わいと消え入りそうな食感、久々に感動した。化け猫の友達にもお裾分けしたけど、彼らも溶けちゃうかと思ったら案外しっかりしてた!

  5. 毎年混雑しすぎて霊体が擦れるのが難点なのに、今年はエレベーターや幻流星雨のお陰で何度か消散しかけたぜ…。でも星灯り傘配布はナイス判断。次こそもっと幽界民優先の配慮がほしいな。