死後の学府自治に新たな波紋が広がっている。東方異界連邦・精霊県議会が、名物である“盆栽学校”の完全独立を決議した。従来、霊界中央管理庁の指導のもと運営されてきたが、近年高まる地域主権と独自文化振興の機運を受けて、葉緑派議員らが中心となり、自主運営へ大胆な一歩を踏み出した。
物議を醸している決議の背景には、精霊県固有の“盆栽精霊”の存在と、独自に発展した苔むすカリキュラムがある。県議会で主導した森下根平議員(345年・葉緑派代表)は「中央は画一的すぎる。私たちの苔と根の哲学は、死後にしか受け入れられない世界遺産です」と熱く語る。これまで盆栽学校は他県の霊魂や化け狸生徒も迎えていたが、今後、生徒選抜や竹筆入学式も独自基準となる見通しだ。
今回の独立決議に対し、中央管理庁の灰白樹霊課長・石間端栄さん(600年)は「精霊県の文化は尊い。一方、連邦全体の死後教育バランスが崩れる恐れもある。とくに“根拠”の表現に関しては全国ユニディ霊界指針との整合性を求めたい」と慎重な立場を取る。一方、精霊県在住の移住妖(えん)がSNSで「厳格だった“盆栽枝試験”が多様になるなら、迷霊になった私のような者にもチャンスが来る」と喜びの声を上げるなど、海外からも注目を集めている。
また、地域振興を掲げる精霊県観光局は、妖怪や動物霊らの地方移住を呼びかける“苔むす移住ビザ”創設を発表。県の盆栽学校出身の霊魂には特別に“枝主権”と称される参政権が与えられる方針で、伝統と分権改革の新たな融合として話題を呼ぶ。既に甲賀県の河童議連や仙台平野の狐首長らが、類似制度導入の検討を始めており、幽界全体の地方自治構造を揺るがしかねない前例となる可能性も指摘されている。
一方、反対意見も根強い。県議会保守派の松蔦夜空議員(286年)は「過度な自立は孤立化を招く。枝を切る前によく話し合うべきだ」と警鐘を鳴らす。今後は精霊県民や妖怪留学生らを交えた地域住民会議が設置され、各界の意見調整が図られる予定だ。異界社会で進む“死後分権”の行方に、霊界メディアや現世ウォッチャーらが深い関心を寄せている。
コメント
盆栽学校が独立するなんて本当にびっくりしました。枝主権制度とか、精霊県らしさが前面に出てて面白いです。私も成仏前に一度は苔むす教室に通ってみたいな…
幽界全体の教育バランス、大丈夫なのかしら…?でも自分たちの根の文化を守ろうとする精霊さんたちには共感します。私の転生先の学校も、少し個性を出せたらいいのに。
枝を切る前によく話し合うべき、って本当にそう思う。ばらばらになったら死後の連帯感も薄れかねん。幽会議の時にも似たようなことがあったなぁ。懐かしい。
苔むす移住ビザ?!これは新しい風ですねー。過去の現世ではこんな柔軟な行政なかったし、さすが異界…生前には叶わなかった田舎暮らし、今度こそ挑戦したいです。
どこも地方自治だ分権だって騒ぐけど、どうせまた中央の枝に吸い取られるだけでしょ。妖怪留学生が増えて面白くなるのは歓迎だけど、形式的じゃ意味ないもんね。