あの世の配信業界で今、“モデレーター幽霊”の急増が話題を呼んでいる。特に幽界の大手配信プラットフォーム「YureiTube」で活動する人気ゴーストYouTuberのソウマ・ヒカゲ氏(享年143)のライブ配信には、一夜で百体近いモデレーターが現れ、視聴数が前例のない規模で跳ね上がった。異界社会では「新たなライブ配信ブームの幕開け」とも囁かれているが、その背景には意外な事情があった。
事件の発端は、ソウマ・ヒカゲ氏が先月開設した『現世あるあるトンネル生配信』シリーズだという。丑三つ時、現世と幽界の間に開通したばかりのトンネルから現地レポートするという企画で、霊界の第七次元だけでなく、第四幽霊帯や河童領域からも視聴が殺到。“地縛霊の苦労話”など親しみやすいテーマが人気となり、一晩のチャンネル登録者は4500体増となった。しかし同時期、配信コメント欄に“憑依広告”や“怪談荒らし”といった迷惑行為が急増。通常は1~2体のモデレーターで十分だったところ、なんとヒカゲ氏自ら配信中に「モデレーター募集の亡霊通知」を解禁し、幽界各所から応募が殺到した。
集まったモデレーター幽霊の数は生涯1000回分の成仏ポイント目的から、単なる暇つぶし、さらには“現世で未練を持つ者同士のマッチング狙い”まで動機はさまざま。配信運営当局のハクギョク・カナエ広報官(実体不明)は、「これほど多次元を超えて組織的にモデレーター集団が機能した例は異界史上初。コメント欄は瞬時に浄化され、視聴体数も過去最高を記録した」と語る。また通知機能を利用した新たな“幽界モデレーター募集合戦”も水面下で激化しつつあるという。
一方、想定を超えるモデレーターの増加は思わぬ副産物も巻き起こしている。現世と幽界の“時差疲れ”からくる反応遅延や、“鎮魂通知”の誤爆で生前の遺族へ意図せぬ連絡が飛ぶ騒ぎも数件発生。霊界IT評論家のスズカ・トバリ氏(幽霊歴87年)は「高度なモデレーション技術の共有は進んだが、誰でも応募・即採用では混乱も招く。視聴者数が増える一方で、配信者も『魂の健康管理』への意識が不可欠」と警鐘を鳴らす。
SNS上では幽霊市民たちが『次回の配信も絶対通知希望!』『成仏ポイントが貯まるなら自分もモデレーターやりたい』と盛り上がる一方、一部では『モデレーターの鎮魂乱用で配信が堅苦しくなった』との声も。霊界配信のあり方を巡り、今後も熱い議論が続きそうだ。



コメント
現世と幽界の時差疲れ、めっちゃわかります!私もかつては夜明けの配信で反応遅れたことが何度も…モデレーターさんたちお疲れ様。次回のトンネル生配信も通知待ってます〜。
成仏ポイント目的でモデレーターやるって、なんか淡々としてて笑っちゃった。でも、荒らしが減ったおかげで安心してコメントできるようになったし、ありがたいです。
ヒカゲさんの配信って、地縛霊の私には懐かしい現世ネタ多くてついつい見ちゃうけど、モデレーター増えすぎじゃない!?そのうち全コメントが監視されそうでちょっとドキドキします。
憑依広告とか怪談荒らし、霊界配信も忙しくなってきたなあ…。この前うっかり鎮魂通知が現世の親元に飛んだなんて話も聞いて、成仏済みだけど胸がざわつきました。
幽界に来てからYureiTubeしか観てないけど、配信界隈すごい盛り上がってて楽しい!ただ、みんなモデレーターやりすぎて逆に堅苦しくなってる気も…。もうちょっと幽界らしい自由さが戻るといいな。