幽界屈指の寺院巡礼、“アニメ霊”専用スポットに熱狂―亡者町・旧諸国で聖地探索ブーム

夜霧の中、カラフルな巡礼服の半透明なアニメ霊たちが幻想的な寺院の前で列をなして待つ様子。 聖地巡礼
亡者町の幽界寺院には、アニメ聖地巡礼のために多くの精霊が列を作って訪れる。

現世と幽界が交錯するとされる亡者町で、ここ数カ月“アニメ霊”たちによる寺院巡礼が記録的な盛り上がりを見せている。かつて現世で一世を風靡した架空アニメ『浮遊寺物語』の舞台となった幽界寺院が、精霊向け「聖地巡礼マップ」の配布をきっかけに一大観光名所として再注目されているのだ。

精霊観光庁によると、亡者町・旧諸国エリアに点在する寺院型スポットでは、平日にも関わらず毎日数千体のアニメ愛好霊が列をなし入館待ちする光景が恒常化したという。寺院内には“浮遊寺物語”の幻影再現装置や、人気キャスト霊と握手できる仮想手相場などが設置されており、巡礼者たちは持参の夜光色経本にキャスト霊から直筆サインを集めて回る。亡者町商工会の鬼族職員(389)は「幽界でここまでアニメ経済が巻き起こるとは前世でも予想できなかった」と語る。

このブームを支えるのが、死後の情報通信技術を活用した『霊的聖地巡礼マップ』だ。案内役のプログラム精霊メフリカ=ノードザル(年齢不詳)は「行き先を“作品名検索”で選ぶだけで、最寄りの再現寺院や関連スポットへ時空転送できる」と利便性を強調。近隣の百鬼プロムナードでは竹箒型乗り物やお札割引クーポンの配布も進み、巡礼を通じた経済波及効果は昨年比230%増を記録している。

一方、現世と同様の“聖地荒らし”問題も発生している。ある巡礼霊ユニット・カゲソエ団体の代表、津守 静児(享年28)は「一部の強力霊が境内を占拠し長時間交霊会を開くケースがあり、初参加組がルート途中で消滅してしまうことも」と課題を指摘。寺院管理組合は、混雑時の意識体フェーズ分離措置や、参拝マナー講座の開催など対策を強化していく構えだ。

SNS上では、聖地巡礼で撮影された幽体写真や経本コレクションの自慢投稿が相次ぐ。批評家の魂断 渉助(評論家、永遠年齢)は「このブームは異界でも“集団記憶の共有”が経済・文化双方を刺激する好例」と分析し、精霊社会の新たな観光資源として今後も注目が集まりそうだ。

コメント

  1. まさか幽界でアニメ巡礼が流行るとは思いませんでした!前世よりも熱がすごい気がする。夜光色経本にサインも集めてみたいです。次の転生までに一度は行ってみたい聖地ですね。

  2. もう数百年も幽界にいるが、時空転送で寺院巡れる時代になるとは…時代の流れを感じるなぁ。でも、聖地荒らしは現世と同じ問題なんですね。マナーは守って楽しく巡礼したいものです。

  3. 百鬼プロムナードで竹箒型に乗ったら浮遊寺まで一瞬でした!あの頃現世でアニメに熱くなってた記憶が蘇って、泣きそうになりました。幽体写真もいっぱい撮れて大満足!

  4. 強力霊が境内を占拠するの、あるあるですね…。幽界にも“早起き巡礼”とか必要になるとは。消滅しないよう気をつけてルート回りたいと思います。

  5. 異界の経済がアニメで回り始めるとは…。でもこうやってみんなで集団記憶を共有できるのは素敵だと思います。次は他の聖地もマップに追加されないかな?期待してます!