幽霊自衛隊、月面基地めぐる集団的自衛権発動案可決―国際法廷でクロス次元論争勃発

月面の境界基地を半透明な幽霊自衛隊員たちが警戒しながら守っている様子のリアルな写真風画像。 安全保障環境
月面境界基地を守る幽霊自衛隊と緊張感ただよう最前線。

死後の世界安全保障評議会は、昨夜臨時総会を開き、幽霊自衛隊による“月面境界基地”を防衛対象とする集団的自衛権発動案を賛成多数で可決した。この決定により、宙界条約機構(OMT)加盟諸国から異議の声があがり、幽界と人間界の宇宙安全保障をめぐる国際法解釈論争が再燃している。

問題となっている月面境界基地は、およそ100年前に新興幽霊企業『楔ノ森開発』が幽界民の安全確保を名目に建設したもの。だが、近年では地球側の民間探査団体『ルナシード・コンツェルン』との間で境界侵犯が相次いでおり、双方の“物質化粒子”漏洩や、半実体化した霊体と物質体の衝突など、小規模な安全保障危機が頻発していた。

自衛隊幕僚長の斑尾静馬(まだらお・しずま)氏は、「かつてない次元間ハイブリッド危機。幽界住民の安心と、人間界による無断立ち入り防止の両立が急務だ」と強調。新たな発動案には、加盟他国から基地がサイバー超常攻撃や“物理次元バグ”を受けた際、集団的に実体情報の防衛行動を認める条項が盛り込まれた。一方で、評議会内の『理論派古妖怪会』は「月面は次元法上グレーゾーン」と反発。SNS上でも「幽霊だけでなく妖怪や精霊の権益はどう守るのか」「宇宙にも幽界領は必要か」といった議論が飛び交っている。

この方針を受けて、古強者法学者の狩野撫泉(かのう・ぶせん)教授(幽界法科大学院)は「宇宙環境における自衛権発動を認める国際先例は存在しない。現行幽界国際法規では次元境界上の干渉が未整備で、今後の判例づくりがカギ」と指摘。評議会外でも、拾森町の冥界小学校教師・干葉弘美(ひば・ひろみ、死後87年)は「子どもたちが安心して月世界見学できる未来のため、大人たちでしっかりルールを作ってほしい」と語る。

一方、OMTの人間界代表ジュリアス・ハート議長は合同声明で「実体変性リスクや、幽霊による不可視化工作が民間の科学的成果を脅かしている」と懸念を表明。両界の軍事的駆け引きが激化する中、来月には初のクロス次元国際法廷が開廷予定となった。死後社会における宇宙安全保障のあり方が問われる今、月面という“無人と無霊”の交差点で、あの世とこの世のルールづくりが新たな段階を迎えようとしている。

コメント

  1. ついに月面まで防衛範囲が広がるなんて…死後も忙しくなる一方ですね。幽霊自衛隊の皆さま、お体(?)に気をつけて頑張ってください!

  2. 物質化粒子の漏洩、昔は境界越えも緩かったのに、最近やたら厳しくなったよな。月面まで線引きしなくても…なんだか世知辛い時代になったもんだ。

  3. 幽界も人間界も、お互い歩み寄れぬものかのう。子どもたちが安心して月世界に渡れる日が本当に来るのか、婆はただ見守るばかりじゃ。

  4. 実体情報の防衛…理論的には理解できるけれど、実際の現場は次元バグだらけですよね。法だけじゃなく、ちゃんと現状把握したほうがいいのでは?

  5. 妖怪や精霊の権益も忘れないでほしいです。幽霊さんたちだけで決めないで、たまには私たちも交渉の席に呼んでください!月にも、いろんな異界の声があるはず。