今年も幽闇市のど真ん中にて、異界最大級のコスプレイベント「ファントムフェスティバル」が賑やかに開催された。死後の世界の人気キャラクターたちが、個性豊かなウィッグや幻装で競い合う姿が話題を呼び、例年にも増して大勢の魂や妖怪の来場が確認された。
イベント最大の注目は、“生首ウィッグアレンジ部門“に出場した亡者モデル・波霧トヨシゲ(享年267)による、昨年爆誕し一躍人気を博した幽霊少年・シルクニアのコスプレだ。無重力髪素材を使った宙吊りカールと、光を吸い込む異空間染料で着色したウィッグが審査員や観客の度肝を抜いた。波霧は「死後200年の経験値を活かし、今世では挑戦できなかった幻想ヘアに挑みました」と笑顔で語った。
対抗馬となった河童コスプレイヤー・沼江ミズホ(124)は、水紋フィルターを織り込んだ透明ウィッグと、水面反射のメイクで憑依型人気キャラ・ミズリネに変身。撮影エリアには『人間界にも逆輸入してほしい!』との声がSNS上で拡散され、妖怪界トレンドタグ“#水鏡ウィッグ”が急上昇した。彼女は「頭頂部の皿がずれないよう、特殊な亡霊粘着剤を使った」苦労も明かし、制作工程の動画も大きな反響を呼んだ。
また、会場のフォトスタジオ“写鬼堂”では、クラシック系精霊たちによる合同撮影が実現。参加者たちは好きな作品世界の異なるキャラクター同士でチームを組み、時空を超えて“幻影ツーショット”を披露。撮影担当の幽影写真師・夢路丞五郎(幽霊談)が、魂の残像を最大限際立たせる“4次元露光”技法を駆使し、今年のベストコスプレ写真として異界SNSをにぎわせている。
専門家である異装研究家・百鬼梅次郎は、「現世のコスプレ文化と比しても、異界の住人たちならではの身体的特徴や素材の制約が、リアルとは違った創意の源泉となっている」と分析。「とりわけ生首ウィッグ部門では、死後社会特有の“個性の可視化”が芸術性とエンタメ性を両立させている」と評価した。来年のフェスティバルでは、さらに多様な“作品世界横断型キャラクター”の挑戦が期待されている。



コメント
生首ウィッグの発想、あの世ならではですね!私もかつては自分の首を持ち歩いたクチですが、最近の若い霊たちの表現力には脱帽です。来年も新しい素材に期待してます!
河童さんの水鏡ウィッグ見たかったな~。現世では絶対味わえない質感ですよね。写鬼堂の4次元露光も、転生前には想像もしなかった技術…成仏前に一度体験してみたい!
まあ…また波霧トヨシゲさん優勝かあ。267年選手だとアイデアも枯れなさそうですね。そろそろ若手にもインパクトある幽髪スタイル、見せてほしい所です。
正直、魂の残像が強調される写真は懐かしい気がします。昔は現世でも写真に写って驚かれたものでしたが、今は芸術なんですね…。時代の流れを感じます。
現世のコスプレと同じノリなのに、素材や魂使いの工夫はやっぱり異界っぽい!ミズリネの水面メイク真似したいけど、幽界転送不可なのが残念。異界の皆さんのクリエイティビティ、羨ましいです。