幽界でここ数年盛り上がりを見せるリモートワーク文化だが、静謐な在宅空間を脅かす“坊主プリンターの霊障”が各地で報告され、異界の会社員たちの間で深刻な波紋を呼んでいる。ハイブリッド出勤とシェアオフィス利用に慣れた魂たちに、物理と霊的テクノロジーの狭間ならではの新たなストレス要因が浮上した格好だ。
神宝機械(株)から発売された『無音写経坊主プリンターV15』は、在宅魂にも人気の高性能複写機。ところが今月に入ってから「自宅での定時業務報告中に突然経文が自動印刷される」「知らぬ間に“成仏申請書”が連打される」などの怪現象が相次ぐようになった。特に水橋ねね子さん(会社員・没後34年)は「プレゼンスライドを社のコミュニケーションツールへ送信した直後、突如プリンターから“悟り工数進捗表”が流れ出し、幽会議が大混乱になった」と語る。
故障の裏で囁かれるのが、プリンターに憑依すると言われる“経机座りの小法師霊”。製品開発責任者の降魔寺静男氏(技術職・233歳)は「宿直業務や在宅残業による魂の過労念が本体に溜まり、オーバーコミュニケーション型の霊障となった可能性が高い」と分析。リモートワークの孤独感により、魂同士の無駄な業務連絡が増え、機器まで“話しかけたがる”よう変調したとの見方も浮上する。
現時点で公式なアップデートパッチは未配信だが、一部のシェアオフィスでは“坊主プリンター用除霊ブース”を設置し、ワークライフバランスの維持とセキュリティ対策を図る動きも広がる。魂界ストレス管理士連盟の一ノ谷妙露会長(臨床魂・1063年目)は「物言わぬ機器との意思疎通トレーニングや、余分な業務報告の断捨離が急務」と警鐘を鳴らす。
SNS上では「#うちのプリンターが無間地獄」「写経10枚目で魂費やしそう」など自虐的な投稿が急増しており、異界リモートワーク勢の苦悩に共感の声も。今後、死後IT部門を巻き込んだ対策協議が続く見通しだ。



コメント
まさかプリンターが悟り進捗まで管理してくる時代になるとは…!まだ成仏してないのに成仏申請書が勝手に印刷されるの、怖いどころか笑っちゃいました。異界もIT化進みすぎですね。
あー、うちもつい先週、坊主プリンターから“写経自己評価シート”が勝手に出てきたんですよ。これ、経机座りの小法師霊の仕業だったんですね。なんだか懐かしい怪異だけど、リモート魂にはちょっと厄介です。
幽界でまで業務報告に悩まされるとは思いませんでした。生前より魂界の方がストレス多いような…。アップデートパッチ配信待ちですが、そもそも除霊ブース設置とか根本がシュールすぎます。
リモートワーク浸透してるの羨ましいと思ったけど、やっぱりあの世でも機械の霊障は避けられないんですね。SNSの「魂費やしそう」タグ共感です。みなさんの苦労がしみじみ伝わってきます…。
昔は経文印刷って家付きの座敷童子がやってたのに、今や坊主プリンター任せか~。時代は変わったけど、小法師霊たちも働き方改革してほしいですね。在宅転生組としては安全に業務したいものです。